翻訳連載ブログ
 「ロングマール翻訳書房」より、翻訳連載blog

『名探偵カッレくん』『幻想と怪奇』復刊!

 岩波少年文庫が新装されたとき絶版にされてしまった
リンドグレーン『名探偵カッレくん』がめでたく復刊されることになりました!

さらにはハヤカワ文庫版『幻想と怪奇』も復刊されます!

 amazon でも bk1 でも予約受付は行っていないようです。
 買い逃さないように気をつけねば。

スポンサーサイト

懐かしの『チーズはどこへ消えた?』

 この本がブームになったころは、「つまんない」なんて
言おうものなら、「それが変化を拒んでいるってことだ」などと
むちゃくちゃなことを言い返すような人がいました。

 よくも悪くもビジネス本。
なのに自己啓発本のような読まれ方をされてたようです。

「道に迷ったときは動き回らずにじっとしていること」
遭難したときの基本。これは正しいのか間違っているのか。
 答え。どちらも正解。
すぐに助けが来るとわかっているなら動くべきではない。
助けの当てがないなら安全な場所に移動すべきだ。

 要するに、この本には「状況判断」という概念が欠けてます。
それもビジネス本なら当たり前の話(?)。
上司や会社の決めた変化に対して、部下が状況判断して
応じるか拒否するか決められたのでは困るのです。
何も考えずに、とにかく会社の決定した変化に従え。
部下だって出世したいならそうすべき(なのでしょう)。
 でもそれもビジネスのうえでの話。

 人生のうえでは、適切な状況判断をしてから進むべきです。

-----------------------------------------
チーズはどこへ消えた?
スペンサー・ジョンソン著・門田美鈴訳

出版社 扶桑社
発売日 2000.11
価格 ¥ 880(¥ 838)
ISBN 459403019X
「迷路」の中に住み、「チーズ」を探す二人と二匹の物語。時代や状況の急激な変化にいかに対応すべきかといった、人生の様々な局面を象徴している。世界のトップ企業が研修テキストに採用している寓話。〈ソフトカバー〉 [bk1の内容紹介]

bk1で詳しく見るオンライン書店bk1

「ヴァテック」新訳、いや旧訳が新発売

 拙ホームページで翻訳したレ・ファニュ「酔っぱらいの夢」にて
酔っぱらいが夢見た景色の原典である「ヴァテック(ヴァセック)」が
なんと矢野目源一訳にて新刊発売されることになりました!
 もともとは「ゴシック名訳集成」の一冊。
古川日出男さんの「『アラビアの夜の種族』外伝」が“名訳”として
収められているところがおしゃれ。
--------------------------------------
暴夜幻想譚(学研M文庫 伝奇ノ匣8)
東雅夫 編

出版社 学研
発売日 200502上旬
価格 ¥ 1,785(¥ 1,700)
ISBN 4059003360
[bk1の内容紹介]

bk1で詳しく見るオンライン書店bk1

『首つり判事』ブルース・ハミルトン

 粗筋は「続きを読む」の欄に。一読して見当がつくとおり、本書の内容は『歯と爪』であり『黒衣の花嫁』であります。このサスペンスの名作二篇に劣らぬ面白さでありました。章によって視点人物が変わるのが実に効果的。まずは死刑囚。次に謎の男ティール。ティールが泊る宿屋の主人。ティールの失踪を捜査する警官。ティール事件の陪審員の一人。宿屋の亭主は、いかにも小さな村の宿屋の亭主らしく、村のことなら任せてくれ的な人間観察。警官は警官らしい観察眼と正義感に基づく、警察小説のような視点で。陪審員は世間の代表として好奇心いっぱいに裁判の成り行きを見守ります。この陪審員が面白い。人間心理に一家言持つ時計屋デニス。彼のおかげで、法廷ミステリの緊迫感とはまた別の野次馬的裁判シーンが誕生しました。人がテレビを見ながらツッコミを入れている感覚に近いと言えばいいか。国会を戯画化したような場面もあり、割とユーモラスな雰囲気も漂っていたりするのでした。
 
 かくして謎めいた発端、警察の捜査、気になる裁判の行方……そして明かされた真相は、というところで残念ながら納得できません。重要な登場人物二人が偶然出会ったというのがあまりにご都合主義。それだけならまだ、偶然出会ったからこそ事件が起きたのだ、という好意的な見方もできる。けれど、財布が防水だから事件の鍵を握る重要な手紙が水に浸かってもきっと大丈夫、という超楽観主義には呆然。どんな財布だよ。
 
 復讐される側の悪者っぷりがイマイチ伝わってこなかったのも残念。無実の罪のハリイ死刑囚にしても、本人の言葉を信じるならば無罪なんだろうけど、はっきりしない。とはいえ犯人の目的(というか作者の目的?)の第一が、復讐ではなく冤罪に対する警鐘だとすればそれも意図的なものか。悪人の悪人たるゆえんをじっくり描けば、勧善懲悪の物語になってしまう。復讐される側の罪も復讐する側の罪も曖昧なまま。神ではない人間には真相を透視することなどできないのだから、たとえ自白があろうと証拠があろうと、自白が嘘かもしれないし証拠が捏造かもしれない可能性は常にあるのだ。ということだろか。
 だけど作者の意図がそうであるにしろ、読み終えてすっきりしない以上は、その意図が成功してるとは思えない。
 
復讐される者が最後に言う台詞「きつとこの手でやつたに違いない/しかし、思い出せん。それに、自分でやつたとは思わない/自分でやつたとは思わないんだ!」は、『歯と爪』における「Who done it?」の連呼に匹敵する名台詞。
続きを読む

『判事への花束』マージョリイ・アリンガム

作者の短篇代表作「ボーダー・ライン事件」を読んだときには、 あの短さで且つ本格ものだというのに、人生の悲劇 みたいなものを綴った文学臭さが鼻についた。

本書を読んでみると、やはりそうした小説的な箇所に筆を 費やしているものの、おおらかに筆をふるっている印象で むしろ凝った表現を楽しむことができた。

作者の作品は、「ボーダー・ライン事件」と本書しか 読んだことないけど、ギャグみたいなトリックをひねり出す人という印象。 こんな珍トリックばかりなら、ほかの作品も読んでみたい。

------------------------------------------
判事への花束(Hayakawa pocket mystery books 269)
マージョリイ・アリンガム著・鈴木幸夫訳

出版社 早川書房
発売日 1956
価格 ¥ 1,020(¥ 971)
ISBN  415000269X
一九一一年五月のある朝、バーナバス書房の重役の一人が家を出て間もなく、広い郊外の道路上で、池におちた雨粒よろしく手際よくも慎み深く蒸発してしまったという事件がロンドンの街をさわがせた。災難は忘れたころにやってくるという。一九三一年同書房の取締役の一人が失踪したとき、二十年前の事件を想い出したものは誰もいなかった! 英国の大出版社を背景にした特異な作品。デリケートで鋭い性格描写が抉り出す人間心理の謎は第一級の探偵小説となっているばかりでなく、立派な文学的価値をもっている。[内容紹介]
bk1で詳しく見るオンライン書店bk1

bk1が改善されるらしい

 bk1からメールが届いた。サイトの重さ改善のため
2/6にメンテを行うとのこと。
 
 こないだ書いた書評が「書評の鉄人」とやらに採用されました。
天沢退二郎さんの本がぞくぞくと復刊されて嬉しいかぎり。
入沢康夫さんとの銀河鉄道対談も復刊してほしいな。
復刊ドットコムではまだ22票……先は長い……。

------------------------------------------------
オレンジ党と黒い釜(fukkan.com)
天沢退二郎著

出版社 ブッキング
発売日 2004.11
価格 ¥ 2,835(¥ 2,700)
ISBN  4835441311
父と2人暮らしのルミが、ある日、2人で森へピクニックへ出かけると、なぜか父が姿を消した。必死で探すルミは、近くの墓地で不気味な「黒いもの」に遭遇し…。「三つの魔法」シリーズ第1部。78年筑摩書房刊の再刊。 [bk1の内容紹介]

bk1で詳しく見るオンライン書店bk1

PROFILE

東 照《あずま・てる》(wilderたむ改め)
  • 名前:東 照《あずま・てる》(wilderたむ改め)
  • 本好きが高じて翻訳小説サイトを作る。
  • 翻訳が高じて仏和辞典Webサイトを作る。

  • ロングマール翻訳書房
  • RSS
  • 04 | 2017/05 | 06
    S M T W T F S
    - 1 2 3 4 5 6
    7 8 9 10 11 12 13
    14 15 16 17 18 19 20
    21 22 23 24 25 26 27
    28 29 30 31 - - -

    SEARCH

    RECENT ENTRIES

    CATEGORY

    RECENT TRACKBACKS

    RECENT COMMENTS

    ARCHIVES

  • 2017年05月 (4)
  • 2017年04月 (4)
  • 2017年03月 (4)
  • 2017年02月 (4)
  • 2017年01月 (4)
  • 2016年12月 (5)
  • 2016年11月 (4)
  • 2016年10月 (5)
  • 2016年09月 (4)
  • 2016年08月 (4)
  • 2016年07月 (5)
  • 2016年06月 (4)
  • 2016年05月 (4)
  • 2016年04月 (5)
  • 2016年03月 (4)
  • 2016年02月 (4)
  • 2016年01月 (5)
  • 2015年12月 (4)
  • 2015年11月 (4)
  • 2015年10月 (5)
  • 2015年09月 (4)
  • 2015年08月 (5)
  • 2015年07月 (4)
  • 2015年06月 (4)
  • 2015年05月 (5)
  • 2015年04月 (4)
  • 2015年03月 (4)
  • 2015年02月 (4)
  • 2015年01月 (4)
  • 2014年12月 (4)
  • 2014年11月 (5)
  • 2014年10月 (4)
  • 2014年09月 (4)
  • 2014年08月 (5)
  • 2014年07月 (4)
  • 2014年06月 (4)
  • 2014年05月 (4)
  • 2014年04月 (4)
  • 2014年03月 (5)
  • 2014年02月 (4)
  • 2014年01月 (3)
  • 2013年12月 (4)
  • 2013年11月 (5)
  • 2013年10月 (5)
  • 2013年09月 (5)
  • 2013年08月 (4)
  • 2013年07月 (4)
  • 2013年06月 (5)
  • 2013年05月 (5)
  • 2013年04月 (4)
  • 2013年03月 (5)
  • 2013年02月 (4)
  • 2013年01月 (4)
  • 2012年12月 (5)
  • 2012年11月 (3)
  • 2012年10月 (4)
  • 2012年09月 (5)
  • 2012年08月 (4)
  • 2012年07月 (4)
  • 2012年06月 (5)
  • 2012年05月 (4)
  • 2012年04月 (4)
  • 2012年03月 (6)
  • 2012年02月 (4)
  • 2012年01月 (2)
  • 2011年12月 (4)
  • 2011年11月 (5)
  • 2011年10月 (6)
  • 2011年09月 (5)
  • 2011年08月 (5)
  • 2011年07月 (5)
  • 2011年06月 (4)
  • 2011年05月 (4)
  • 2011年04月 (5)
  • 2011年03月 (5)
  • 2011年02月 (7)
  • 2011年01月 (5)
  • 2010年12月 (5)
  • 2010年11月 (4)
  • 2010年10月 (5)
  • 2010年09月 (5)
  • 2010年08月 (4)
  • 2010年07月 (5)
  • 2010年06月 (4)
  • 2010年05月 (5)
  • 2010年04月 (5)
  • 2010年03月 (9)
  • 2010年02月 (5)
  • 2010年01月 (5)
  • 2009年12月 (5)
  • 2009年11月 (5)
  • 2009年10月 (5)
  • 2009年09月 (4)
  • 2009年08月 (5)
  • 2009年07月 (4)
  • 2009年06月 (4)
  • 2009年05月 (5)
  • 2009年04月 (4)
  • 2009年03月 (5)
  • 2009年02月 (3)
  • 2009年01月 (5)
  • 2008年12月 (4)
  • 2008年11月 (5)
  • 2008年10月 (4)
  • 2008年09月 (4)
  • 2008年08月 (3)
  • 2007年06月 (5)
  • 2007年05月 (3)
  • 2007年04月 (3)
  • 2007年02月 (4)
  • 2007年01月 (3)
  • 2006年12月 (1)
  • 2006年11月 (2)
  • 2006年10月 (1)
  • 2006年09月 (6)
  • 2006年08月 (13)
  • 2006年07月 (6)
  • 2006年06月 (10)
  • 2006年05月 (2)
  • 2006年04月 (4)
  • 2006年03月 (3)
  • 2006年02月 (11)
  • 2006年01月 (10)
  • 2005年12月 (14)
  • 2005年11月 (17)
  • 2005年10月 (3)
  • 2005年09月 (27)
  • 2005年08月 (3)
  • 2005年02月 (3)
  • 2005年01月 (8)
  • LINKS

    SEARCH

    SEARCH