「さて第三に書かれてるのは
生贄の益を守ること、
その戒めを思い起こせば、
{敬意をもって扱いたまえ、
ゆめゆめ反抗するなかれ}」
「重さを量る数式みたいに
ぼくにもすっきりよくわかる。
ただ願わくば幽霊たちが
君の話したその原則を
{忘れず}覚えていてほしい!」
「たぶん{あなた}は、もてなし方を
間違っちまったようですね。
幽霊たるは本能的に
真心込めて客をもてなし
損ねたお方を嫌います。
「霊に向かって『もの!』と呼んだり
斧をふりかざそうものなら、
王に許しの出ているとおり
{形式的な}会話をやめて――
必ずや罰を与えましょう!
「さて第四は、他霊《たにん》が泊まる
宿を侵したりするなかれ。
罪の宣告受けた奴らは
(王の赦しが出ない限りは)
逃げるひまもなくメッタ斬り。
「つまり『微塵にメッタ斬り』です。
幽霊はすぐによみがえる。
痛みはとんとないも同然――
せいぜいがとこ、これぞいわゆる【せいぜいがとこ、いわくいわゆる】
評論家たちに『メッタ斬り』。
「第五番目は残らずすべて
聞きたいのではと存じます。――
{王を『陛下』とお呼びすること。
これは忠義な廷臣により、
法の要求とするところ。
「だけどまだまだ徹底的に
礼を尽くさんとするのなら、
『わが魔王さま!』とお呼びすること。
答えるときはいつも決まって
『黒王陛下』と応うこと。}
「残念ですが喉がからから、
あんまり話をしすぎかな。
どうですあなた、よろしかったら、
ビールを一つ交わしませんか――
こいつはずいぶん美味しそう。」