枕元で身体を起こしたまま、義足を手近の床に置いた。夜中に目が覚めたとき松葉杖代わりに使う杖がそばにはある。目が閉じられ、思い出【様々な光景がひっきりなしに】が次々と浮かぶ……。リンダ……繰り返される絶え間ない口論……「飲み過ぎよ……煙草も吸いすぎ……だらしもなくなって……」リンダは正しい。(かつて)結婚していたスポーツマン。一メートル八二センチ……九十二キロ……もはや太り気味の人間でしかなかった……九十二キロ……だが義足つき……親切か! ごまかすのはやめてくれ! どうしていつもごまかしていたんだ? 例えば【?】どうしていつも(こう)言ってばかりだったんだ? 「あなたみたいな人はほかにもたくさんいるんだから! 働くのに何の不都合もない。いつだって転職できる(のよ)」歳をとった負傷者はもはや障害者でしかなく、もとより若者が求められているということを知りもしないかのようだった。