「どのように始めるのがよろしいかな?」声をひそめるとフランボウに火のような視線を向けた。「物体移動か? 霊媒の空中浮揚か? 物質化か?」
ところが突然ミス・ハリカンが甲高い軋むような声で切れ切れにしゃべり始めたために、卿の話はぷっつり途切れた。言っている内容はよくわからない。別世界からの言伝を読み解くのに慣れていたオリヴァーが翻訳した。
「ロード・コールズウェル。一五五二年に亡くなった、この城の所有者だ。いらいらしているようだ。我が家に――」言葉をとぎらせた卿の顔は、恐ろしくこわばっていたが、やがて肩をすくめた。「――フランス人とカトリックの神父がいることに……」
フランボウはとっさに全神経を張り詰め、ミス・ハリカンとその不明瞭な言葉を翻訳するオリヴァー卿とを同時に観察していた。