翻訳連載ブログ
 「ロングマール翻訳書房」より、翻訳連載blog

『ジョゼフ・バルサモ』19-2 「ジルベールのエキュ銀貨」

 真夜中、サン=ディジェに到着した。ここで泊まってくれることをジルベールは願った。

 十二時間で十六里も走っていたのだ。

 ジルベールは溝の外れに坐り込んだ。

 ところがサン=ディジェでは馬を替えただけであった。再び遠ざかってゆく鈴の音が聞こえて来た。富貴な旅人たちは明かりと花に囲まれて喉の渇きを癒しただけだったのだ。

 ジルベールは気力を振り絞った。十分前には足が萎えていたことなど忘れようと、足に再び力を込めた。

「さあ、進め、進むんだ! もう少しだ。僕もサン=ディジェに着いたらパンと脂身を買おう。ワインを一杯飲むぞ。五スー使ってしまおう。五スーあれば、支配者方(les maîtres)より元気になれるさ」

 ジルベールがこの支配者という言葉を、幾分大げさに口にしたことは強調しておこう。

 ジルベールは予定通りサン=ディジェに足を踏み入れた。護衛が通り過ぎてしまったため、人々が窓や扉を閉め始めていた。

 我らが哲学者はよさそうな宿屋を見つけた。夜中の一時だというのに女中はちゃんと服を着ており、下男はemmanchésボタン穴に花をつけている。【emmanchés の意味がわからなかった。本義が「柄をつける」ということから類推するに、ボタン穴にピンか何かをつけていたということだろうか?】花模様のついた陶器製の大皿には鶏肉が盛られ、腹を空かせた随員たちが実に見事に十分の一税を取り立てていた。【※ここは比喩的に訳すべきか?】

 ジルベールは毅然としてその本館に足を踏み入れた。鎧戸の閂が掛け終えられたところだった。身体を屈めて調理場に足を運んだ。

 そこに女将がいて、警戒怠りなく売り上げを数えていた。

「お邪魔します。パンとハムを一切れいただきたいのですが」

「ハムはないよ。鶏肉はいらないかい?」

「すみません。ハムが欲しかったので。鶏肉は苦手なんです」

「そいつぁ困ったね。ここにゃあそれしかないんだよ。でもいいかい」と女将はにっこり笑った。「鶏肉ならハムほど高くないんだけどね。半分、いや十スーで丸ごと持ってきな。それで明日のご飯にはなるだろ。妃殿下は代官殿のところにお泊まりになるだろうと思ってたからさ、お供の方たちに売りたかったんだよ。ところが妃殿下は通り過ぎちまった。料理はぱあさ」

 うまい話だし、女将はいい人だし、立派な食事にありつける絶好の機会を逃すはずはないとお思いだろうが、ジルベールの性格をお忘れではないだろうか。

「ありがとうございます。でも必要なだけで結構です。僕は王様でも従僕でもありませんから」

「だったらやるよ、謹厳居士さん。神のご加護がありますように」

「僕は乞食でもありません」ジルベールはむっとして答えた。「お金は払います」

 その言葉を証明するように、キュロットのポケットに厳かに手を入れ、肘まですっぽり見えなくなった。

 ところがジルベールは真っ青になった。ポケットをくまなく捜しても捜しても、出て来たのは六リーヴル貨を包んでいた紙だけであった。走っているうちに古くてよれよれの包みは擦り切れ、ポケットの布にも穴が空き、とうとうエキュ銀貨はキュロットから滑り落ちて、留め金のはずれた靴下留めから外に飛び出していたのだ。

 少しでも足を楽にしようと思い、靴下留めをはずしていたのである。

 エキュ銀貨は道の上だ。恐らくはジルベールをあれほど喜ばせた小川のほとりだろう。

 この哀れな青年は、掌一杯の水に六フラン支払ったことになる。それはそうと、ディオゲネスが茶碗など無益だと悟った時には、穴の空くようなポケットも失くすようなエキュ銀貨も持ってはいなかったのだ。

 恥ずかしさのあまりジルベールが真っ青になって震えるものだから、女将の方が心配になった。これがほかの者であったなら、思い上がった若造に罰が当たったのを見て溜飲を下げたことだろう。だがこの女将は、動顛した若者が顔色を変えて苦しんでいることに耐えられなかった。

「ほらほら、ここでご飯を食べて泊まってきな。どうしても出かけるっていうんなら、明日になってから旅を続ければいい」

「そうだ、出かけなくちゃ! 明日じゃ駄目なんです。今すぐに出かけなくては」

 耳を貸そうともせずに包みを仕舞い、恥ずかしさと苦しみを闇に紛らせようとして、外に飛び出した。

 鎧戸は閉まっていた。陽射しもすっかり村から消え、仕事に疲れた犬たちも吠えるのを止めていた。

 ジルベールは一人きりだった。この世に一人きり。何しろ最後の銀貨一枚とお別れして来たばかりの人間ほど孤独な者などいやしまい。ましてやそれは生涯で初めて手にした銀貨だったのだ。

 闇が辺りを覆っていた。どうすればいい? ジルベールは躊躇った。銀貨を捜しに元来た道をたどっても、見つかるかどうか定かではない。捜しているうちに、永遠とまでは行かずともかなりの時間を、追いつけないほど馬車から引き離されることになる。走り続けよう、追跡に戻ろう。そう決めた。だが一里進んだところで、ジルベールを飢えが襲った。精神的な苦しみから一時は飢えも和らいだというか丸め込んだのだが、駆け続けたせいで血が沸き立ち、かつてないほど凄まじい空腹感を目覚めさせてしまった。

 と同時に、飢えとは切っても切れない疲労もジルベールの手足を侵し始めた。粉骨砕身の末に、一度は馬車に追いついていたというのに、まるで陰謀でも仕組まれているようであった。馬車が停まったのは馬を替えた時だけ、それも大急ぎで行われたので、哀れな旅人は五分しか休む暇がなかった。

 それでも先を目指した。朝の光が地平線から覗き始めた。帯のように広がる薄暗い靄の上に、太陽が燦然と輝き、天を司る威厳に満ちた顔を現した。夏をふた月も先取りした、焼けつくような五月の一日になるであろう。果たしてジルベールは真昼の暑さに耐えられるや否や?

 馬も人も神さえも共謀しているのだと考えることで、束の間自尊心を慰めようとした。やがてアイアースのように、拳を天に突き上げた。アイアースのように「神々であろうと俺に手を出せぬのだ」と言わぬのは、オデュッセイアのことを社会契約論ほど知らなかったからに過ぎない。【アテナの怒りに触れて船を沈められた際に、生き延びた小アイアース(アヤックス)が叫んだ言葉。この言葉によってポセイドンの怒りを買い、岩を砕かれ結局は溺れ死んでしまった。※ホメロス『オデュッセイア』第四章の該当箇所には「拳を天に突き上げる」という記述はない。19世紀の詩人カジミール・ドラヴィーニュ(Casimir Delavigne)の詩「La Dévastation du Musée」に「un bras dans les cieux」という表現がある。そもそも『オデュッセイア』では「神々の意に反して、俺は(海の水)から逃げられる(=俺を溺死させることはできないぞ)」という表現がされており、「J'échapperai malgré les dieux」というのはドラヴィーニュの詩からそのまま借りた可能性がある。ちなみに、これも19世紀の Leconte de Lisle によるフランス語散文訳では「Il dit que, malgré les Dieux, il échapperait aux grands flots de la mer.」となっていた。もちろん『オデュッセイア』のフランス語版をくまなく調べたわけではないので何とも言えないが。】

 恐れていた通り、力及ばず難しい立場に陥る瞬間がやって来たのだ。無力と自惚れがぶつかり合う、恐怖の瞬間だった。ジルベールの気力が、いつしか絶望の力に裏書きされた瞬間だ。最後の力を奮い立たせ、姿を消していた馬車に追いつくと、砂埃で充血した目はひどい色になっていたが、その向こうには再び馬車が見えたのである。耳に響く馬車の轟きが、どくどくと脈打つ音と混じり合った。口は開き、目は動かず、髪は汗で額に貼りつき、まるで人間そっくりに作られたもののぎこちなさとかたくなさの目立つからくりのようだった。前夜から数えれば、もう二十里か二十二里は走っていた。ついに来た。足が萎え、立っていることも出来なかった。目の前の景色ももはや見えない。大地が揺れ、めくれたように思えた。叫ぼうとしたが声は出なかった。倒れる! そう思い、こらえようとして気違いのように腕を空に叩きつけた。ようやく声が喉に戻って来ると、パリに向かって、正確に言えばパリに違いないと思う方向に向かって怒号をあげ、気力と体力を奪った者たちに激しい罵声を浴びせかけた。それから両手で髪をつかみ、一度か二度くるくると回ってから路上にばったりと倒れた。自覚はあった。即ち古代の英雄のように死の間際まで戦ったのだという慰めはあった。

 力つきて倒れながらも、両の眼はかっと見開き、両の拳はぐっと握り締めていた。

 やがて目は閉じ、力も抜けた。ジルベールは気を失った。

「糞ッ! 危ねェ!」ジルベールが倒れた瞬間、鞭の鳴る音と共にしゃがれた叫び声がした。

 だがジルベールには聞こえない。

「危ねェってのが! 轢き殺されてェのか!」

 この怒鳴り声と共に、長い鞭が力強く打ちつけられた。

 革で出来た鞭がジルベールの腰に食い込んだ。

 だがもはや何も感じることもなく、ジルベールは馬の脚元に倒れていた。この馬はティエブルモン(Thiéblemont)‐ヴォクレール(Vauclère)を結ぶ本通りまで、間道を通って来たのであるが、錯乱しているジルベールには、見ることも聞くことも叶わなかった。

 この馬たちが羽根の如く軽やかな疾風となって運んできた馬車から、悲鳴が聞こえた。

 御者の超人的な努力にもかかわらず、先頭の馬がジルベールを跨ぎ越えるのを避けることは出来なかった。だが後ろの二頭は何とかそれより手前で止めることが出来た。婦人が一人、馬車から身を乗り出した。

「ああ!」恐ろしげな声をあげた。「轢かれてしまったの?」

「さいですな!」馬の脚で巻き上げられた砂煙越しに、御者は確かめようとした。「どうやらそんな気がいたします」

「可哀相に! 進んじゃ駄目よ。止めて頂戴!」

 そうして乗客は扉を開けて馬車から飛び降りた。

 御者は既に馬の下に潜り、血塗れで息絶えているに違いないジルベールの身体を、車輪の間から引き出そうとしていた。

 婦人客も力の限り御者に手を貸した。

「悪運の強ェ野郎だ! かすり傷一つ、打ち身一つねェや」

「でも気を失ってるじゃない」

「吃驚したんでしょうな。お急ぎのようですから、そこの溝に寝かせて、行くとしましょうか」

「馬鹿言わないで! こんな状態の子を放っておける?」

「はあ。何ともありませんよ。ひとりでに気づきますって」

「駄目よ、駄目。こんな若くて可哀相な子! 学校から逃げ出して、限界まで旅を続けようとしたのね。こんなに顔色が悪くちゃ、死んじゃうわよ。駄目駄目、放っておくもんですか。馬車に運んで、前の座席に乗せて頂戴」

 御者は言われた通りにした。ご婦人は既に馬車に戻っていた。ジルベールは柔らかいクッションに横たえられ、四輪馬車のふかふかの壁に頭をもたせかけられていた。

「だけど二十分も時間を食っちゃったわね。これから二十分稼いでくれたら一ピストール出すわ」

 御者が鞭を頭上で鳴らし、この威圧的な合図の意味を先刻承知の馬たちは、全速力で走行を再開させた。

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『ジョゼフ・バルサモ』19-01 「ジルベールのエキュ金貨」アレクサンドル・デュマ

第十九章 ジルベールのエキュ金貨

 半時間ほどひた走った頃、ジルベールは歓喜の叫びをあげた。四半里ほど先に、並足で坂を上る男爵の馬車が見えたのだ。

 紛れもない誇りが湧き上がってくるのを自分でも感じていた。あるのは若さと体力と知力。ただそれだけで富と権力と階級に追いついたのだから。

 タヴェルネ男爵がジルベールを思想かぶれと呼んだのもこれでおわかりいただけよう。路上から見つめたまま、手には杖、ボタン穴にはちっぽけな荷物、大急ぎで足を進め、距離を稼ごうと土手を飛び越え、一歩きごとに馬をからかうでもするように立ち止まった。

「ちょっと遅いんじゃありませんか。僕の方がそっちを待っているくらいだ」

 思想かぶれ! 哲学者! さよう、喜びを否定し、安易さを拒むことを哲学と呼ぶのであれば、まさしくその通りだった。確かに、自堕落な生き方に染まってなどはいなかった。が、愛にとろけぬ者が何人いようか!

 それゆえ見事な光景だったと言わねばなるまい。泥にまみれて顔を上気させ、馬車に追いつこうと一刻ほども走り続けた果てに、馬が進めなくなったのを見て大喜びで一服している少年よりも、むしろ逞しく知的な被造物の父なる神に相応しき光景であると。我々と同じように目と頭を使って後を追うことの出来る者なら、この日のジルベールには感嘆の念を抱くほかなかっただろう。ことによるとあのアンドレとても、これを見たら心を動かされやしなかっただろうか? 怠け者だと冷淡な態度を取ってはいたものの、この行動力を見れば打って変わって尊敬したりはしなかっただろうか?

 一日目はこうして終わった。男爵はバル=ル=デュックに一時間も留まり、追いつくどころか追い越す時間までジルベールに与えてくれた。金細工師のところに立ち寄るという指示は聞いていたので、ジルベールは町をぐるりと巡り、馬車が着いたのを見ると藪に飛び込んでやり過ごし、またもや追いかける側に戻った。

 夕方頃、男爵はブリヨンの小村で王太子妃の車と合流した。丘の上に寄り集った住人たちが、喜びの叫びと繁栄の祈りを捧げていた。

 その日を通してジルベールはタヴェルネから持ち出したパンしか口にしていなかったが、道を横切る見事な小川から水をたらふく飲んでいた。水は冷たく澄み、クレソンと黄睡蓮に彩られていた。アンドレは馬車を停めてわざわざ降り立ち、王太子妃の金器で水を汲んだ。これだけは売らずにほしいと男爵に頼んでいたのだ。

 道路脇の楡に隠れて、ジルベールは何もかも見ていた。

 そういうわけだから馬車の一行が立ち去るや、ジルベールはその場所に向かって歩いていた。アンドレが上るのを目にした土手に足を踏み入れていた。タヴェルネ嬢が喉の渇きを癒したばかりのその流れに、ディオゲネスのように手を入れ水を飲んだ。【ディオゲネスは古代ギリシアの哲学者。所有しているものは水を飲み用の茶碗だけだったが、子どもが手で水をすくって飲んでいるのを見て、その茶碗さえ捨ててしまったというエピソードがある】

 やがて渇きが癒えると、再び走り出した。

 ジルベールには一つだけ懸念があった。王太子妃は途中で宿を取るだろうか。宿を取るのであれば――その可能性は充分にある――タヴェルネで変調を訴えていたからには、休息が必要なのは確かだろう――王太子妃が宿を取るのであれば、ジルベールとしては大助かりだ。この分なら恐らくサン=ディジェ(Saint-Dizier)で車を停めるはずだ。納屋で二時間も眠れば充分だった。強張りかけていた足の痺れも取れるだろう。二時間経ったら道に戻ればいい。一晩かけて少しずつ足を運べば、五、六里は縮まるはずだ。歳は十八、五月の良夜、足を運ぶには申し分ない。

 夕暮れが訪れ、刻々と押し寄せる闇が辺りを包み込み、やがてその闇はジルベールのいる小径上にも及んだ。もはや馬車の在処を示すものは、左につけた大きなランタンだけ。その光が路上に見えると、白い幽霊が道の裏で怯えて駆け惑っているような、そんな効果を上げていた。

 夕暮れの後、夜が来た。十二里を進み、コンブル(Combles)に着くと、馬車が停まったように見えた。やはり天は我にあり。ジルベールはそう思い、アンドレの声を聞こうと近づいて行った。四輪馬車は依然としてそこにいた。馬車が大門の門下に滑り込んだ。光に照らされアンドレが見え、時刻をたずねるのが聞こえた。「十一時です」。もはやジルベールに疲れはなかった。馬車に乗るよう誘われても笑って拒んだはずだ。

 想像力豊かな焼けつくような目には、すでに金色に輝くヴェルサイユが見えていた。ヴェルサイユ。貴族と王の都。そしてヴェルサイユの向こうには、暗く翳る広大なパリ。人民の都パリだ。

 気が晴れるようなこの景色と引き替えろと言われても、ペルーの黄金一片たりとも受け取らなかったはずだ。

 二つのことが起こってジルベールは空想から引き戻された。再び動き出した馬車の立てる物音と、路上に置き忘れられた犂にぶつかって鳴る激しい物音だった。

 同時に胃も空腹を叫び始めた。

「お金があってよかった」

 ご存じの通りジルベールには一エキュがあった。

 真夜中まで、馬車は走り続けた。

『ジョゼフ・バルサモ』18 「タヴェルネよさらば」アレクサンドル・デュマ

第十八章 タヴェルネよさらば

 主人の元に戻る前に、ニコルは階段の上で立ち止まり、目下身中に渦巻く怒りをどうにか抑え込んだ。

 そこに男爵が現れて、じっと動かず手に顎を乗せ眉を寄せて考え込んでいるニコルを目にするや、これは可愛いと頭から思し召し、三十歳のみぎりにリシュリュー殿が賜ったような口づけを授け給うた。

 男爵のお戯れにすっかり目の覚めたニコルが部屋に飛んで帰ると、アンドレはいましも小箱を閉め終えたところだった。

「あら」タヴェルネ嬢が言った。「さっきのことは……?」

「よく考えました」ニコルはきっぱりと答えた。

「結婚するつもり?」

「いえ、しないことにしました」

「そう。大好きだったんではないの?」

「お嬢様のご親切のほかに大事なものなんてありません。あたしはお嬢様にお仕えしてますし、これからもずっとお嬢様にお仕えしたいんです。お嬢様のことはよくわかってます。ご主人様のこともちゃんとわかるこが出来るもんなんでしょうか?」

 この打ち明け話にはアンドレも心を打たれた。よもやあのニコルがとは思いも寄らなかった。言うまでもなく、当のニコルにとってお嬢様は二の次だったことなど知るよしもない。

 ここまでいい娘だったことに感激して、アンドレは微笑んだ。

「そんなに思ってくれていたのね。忘れないわ。あなたの面倒はわたくしが見ます。幸運が訪れた時には二人で分かちましょう。約束よ」

「もう迷いません。あたしお嬢様について行きます」

「悔いはない?」

「盲従します」

「そんな答えは聞きたくないわ。盲従させられたと言って責められる日が来て欲しくはないですから」

「自分のほかは誰も責めたりなんかしません」

「旦那さんは納得してくれたの?」

 ニコルは赤面した。

「あたし?」

「ええ、そうよ。二人で話して来たんでしょう?」

 ニコルは口唇を噛んだ。ニコルの部屋の窓とこの部屋の窓は向かい合っていたから、ここからジルベールの部屋が見えることもよくわかっていた。

「仰る通りです」とニコルは答えた。

「それで、伝えたの?」

「伝えました」もしやアンドレは探りを入れたのではないだろうか。恋敵のさり気ない遣り口に、再び疑念がもたげて来て、返答には反感を滲ませていた。「伝えました。もうあなたのことは知らないって」

 わかり切ったことだった。一人はダイヤのように純粋で、一人は根っからの性悪。この二人の娘がわかり合えるはずもない。

 棘のあるニコルの言葉にも、アンドレは鷹揚な構えを崩さなかった。

 その間に男爵は荷物をまとめ終えていた。フォントノワを共にした古びた剣、陛下の馬車に乗る権利を証明する羊皮紙、新聞の束、書類の山が一番の荷物であった。ビアスのように一切合切を脇に抱え込んでいた。【Biasとはギリシア七賢人の一人ビアスのことだと思われるが、典拠は今のところ不明。手ぶらで逃げて、「(財産は)私と共にある」と説明したやつだろうか? あるいは「sous la bras」とは文字どおり「腕の下」ではなく、「身一つで」くらいの意味か?】

 ラ・ブリが汗だくになって、中身などすかすかの大型鞄に押しつぶされそうにして歩いて来た。

 並木道の指揮官代理はと見れば、支度を待つ間に、壜の中身を最後の一滴に至るまで空けていた。

 ニコルの柳腰や脚線美に目を奪われた挙句、茂み越しにちらりと姿を現わすやあっという間に消えてしまったこの小娘を、出来ることならまた目にしたいと、西洋栃《マロニエ》の泉水の方をうろうろと彷徨っていた。

 ボージール氏はそもそも任務に就いていたのであり、馬車を請う男爵の声にはっと我に返った。飛び上がってタヴェルネ男爵に挨拶すると、大声で御者に命じて並木道に馬車を入れた。

 四輪馬車が入って来た。ラ・ブリは誇りと喜びを綯い交ぜに、傍らに鞄を置いた。

「国王の馬車に乗れるとは」感激に我を忘れ、てっきり一人きりのつもりで呟いていた。

「ほら、後ろにさがって」ボージールが温かい笑みを見せて声をかけた。

「あら、ラ・ブリも連れて行くのですか」アンドレが男爵にたずねた。「いったい誰がタヴェルネの世話を?」

「ふん! 怠け者の哲学者がおろうが!」

「ジルベールが?」

「まあな。銃を持っていなかったか?」

「でもどうやって食べて行くのです?」

「銃があるじゃろう! それに料理は出来るから心配いらん。ツグミやクロウタドリなら切れる【尽きる】こともないわい」

 アンドレはニコルを見つめた。ニコルは笑い出していた。

「それが同情の仕方なの? 何て子かしら!」

「とんでもないです! お嬢様、ジルベールはとっても上手いんですから。飢え死にしたりはしませんから安心して下さい」

「ジルベールに一ルイか二ルイやらなくては」

「甘やかすためか。ふん! もう充分に堕落しておるというのに」

「生きるためにです」

「喚けば食べさせてもらえるじゃろう」

「気にしないで下さい、お嬢様。ジルベールは喚いたりしませんから」

「とにかく、三、四ピストール渡しておいて」

「きっと受け取りませんよ」

「受け取らないですって? 随分と気位が高いのね、あなたのジルベールは」

「お嬢様、もうあたしとは何の関係もないんです!」

「わかった、わかった」どうでもいい話にうんざりとして、男爵が割って入った。「もうよい、ジルベールなど! 馬車が待っておるから乗りなさい」

 アンドレは口答えせず、城館を一目見てからどっしりとした馬車に乗り込んだ。

 タヴェルネ男爵が隣に席を取った。ラ・ブリはいつものお仕着せ姿で、ニコルはジルベールなど知らぬとばかりに、座席に腰掛けた。御者が馬に跨った。

「だが司令官殿はどうなさるおつもりです?」タヴェルネ男爵が声を高めた。

「本官は馬で参ります、男爵殿」ボージールはそう答えてニコルを盗み見た。礼儀知らずの百姓に代わって早くも粋な騎士が現れたことに感激して、ニコルは顔を赤らめた。

 やがて馬車は四頭の逞しい馬に牽かれて動き始めた。並木道の――アンドレの親しんできた並木道の木々が、住人たちに最後の別れを告げようとでもするように、東風に吹かれて悲しげに傾ぎながら、馬車の脇腹に擦られ一つまた一つと視界から消えて行った。正門に差し掛かった。

 そこにはジルベールが身動きもせずに立っていた。帽子を手に、目は虚ろだがそれでもアンドレのことを見ていた。

 アンドレの方は反対側の扉に身体を押しつけ、慣れ親しんだ家を少しでも長く目に焼きつけておこうとしていた。

「ちょっと止めてくれ」タヴェルネ男爵が御者に向かって声をあげた。

 御者が馬を止めた。

「これは怠け者殿。元気でやってくれたまえ。これで正真正銘の哲学者同然、一人きりじゃな。何をするでもなし、小言を喰らうでもなし。せいぜい眠っている間に火を出さんように気をつけてくれ。それとマオンの世話も忘れずにの」

 ジルベールは無言のまま頭を垂れた。ニコルの目つきが耐え難いほどに重くのしかかって感じられた。怖くて見ることが出来なかった。勝ち誇り、当てつけるような少女を見るのが、焼きごての痛みを恐れるのと同じくらい怖かった。

「出してくれ!」タヴェルネ男爵が怒鳴った。

 ジルベールが怯えているのを見ても、ニコルは笑わなかった。それどころか、パンも未来も慰みもないまま見捨てられた青年をあからさまに憐れんだりしないようにと、ひとかたならぬ力を振り絞らねばならなかった。馬の向きを変えたボージールを見つめていなければならなかった。

 翻って、ボージールを見つめていた以上、ジルベールがアンドレを凝視していたのを目にすることはなかった。

 アンドレが涙を浮かべ見つめていたのは、自分が生まれ母が死んだ家だけだった。

 とうとう馬車は見えなくなった。先刻からとうに相手にされていなかったジルベールだが、もはやいないも同然だった。

 タヴェルネ男爵、アンドレ、ニコル、ラ・ブリは、城門を越えて新しい世界に足を踏み入れたところだった。

 一人一人が胸に思いを抱いていた。

 男爵は、バル=ル=デュックでならバルサモのくれた金器は軽く五、六千リーブルになるだろうと値踏みしていた。

 アンドレは、傲慢や野心に絡み取られぬように、母から教わった祈りを小さく唱えていた。

 ニコルがショールをかき合わせたのは、ボージール殿にとってはあまりお気に召されぬ成り行きであった。

 ラ・ブリはポケットの奥で王太子妃の十ルイとバルサモの十ルイを数えていた。

 ボージールは駆足《ギャロップ》していた。

 ジルベールがタヴェルネの大門を閉めると、油を差していない扉はいつものようにぎいぎいと呻きをあげた。

 それから小部屋に走り、オークの箪笥を開くと、その奥からしっかりとくるまれた包みが現れた。手巾でくるまれたその包みを、ステッキの先で引き出した。さらに粗末な寝台から干し草のマットレスを引きはがし、それを引き裂いた。すぐに両手でたたんだ紙をつかみ出した。紙包みの中には、ぴかぴかに輝く六リーブルすなわち一エキュがあった。確かジルベールが三、四年かけて貯めたものだ。

 包みを開いて中身が化けてやしないのを確かめるかのように見つめると、紙で覆われたままキュロットのポケットに突っ込んだ。

 マオンがわうわうと吠え、鎖の許す限り暴れていた。家族に次々と見捨てられ、今度はジルベールにも見捨てられることを、本能的に悟ってうめいているのだ。

 唸りはますます大きくなった。

「黙るんだ、マオン!」

 そう言いながら、心に浮かんだ二つの考えに口の端を歪めた。

 ――僕は犬みたいに捨てられたんじゃなかったっけ? だったらお前も人間みたいに捨てられたってことか?

 もう一度よく考えてみた。

 ――少なくとも自由にはしてくれたんだ。自分で生きる自由、それこそ僕の求めていたものだ。そうか! だったらマオン、お前にもおんなじことをしてやらなくちゃな。

 ジルベールは犬小屋に駆け寄り、マオンの鎖をはずした。

「これでお前も自由だぞ。望み通り一人で生きていけ」

 マオンは城館に向かって飛び跳ね、門が閉じてあるのを見ると廃墟の方に駆け出して行った。マオンが茂みの中に消えるのをジルベールは見届けた。

「さあ、犬と人間、どちらが生存本能が強いかな」

 こう言ってジルベールは門を出て、鍵をしっかりと掛けると城壁越しに泉水まで放り投げた。石を投げるのなら百姓にはお手のものだ。

 けれども、心に生じた時こそ起伏に乏しかった感情にも、胸に届く頃には変化が訪れ、タヴェルネを離れるに従ってジルベールもアンドレと同じような気持になっていた。ただし、アンドレの場合それは過去への郷愁だったが、ジルベールの場合それは明るい未来への希望だった。

「お別れだ!」そう言ってもう一度だけ城館を振り返った。無花果《シカモア》の葉と金鎖《キングサリ》の花に隠れた屋根が見えた。「もう会うことはないね。あんなに辛くて、みんなから嫌われて、盗んだと言ってはパンを投げつけられていた、こんな家とはおさらばなんだ! 嬉しくってしょうがないよ。自由なんだ、閉じ込める壁ももうない。牢獄よ、さようなら! さよなら、地獄! 暴君の巣! さらば、永久にさよならだ!」

 こうして、あまり詩的とは言えぬがそれなりに意義深い呪いを吐いた後でジルベールは、今もまだ遠くに響く馬車の音を追って飛び出したのである。

『ジョゼフ・バルサモ』17-2 アレクサンドル・デュマ

「じゃあ服をまとめて頂戴。お母様の服も忘れないで。聖遺物のように大事にしてるのはわかってるでしょう。その後で決意を聞かせて頂戴。どちらの答えを選んだとしても、二十五ルイはあなたのものです。結婚を選ぶのなら持参金。わたくしを選ぶのなら、給金二年分」

 ニコルはアンドレの手から財布を受け取り、口づけした。

 与えられた時間を一秒たりとも無駄にする気はなかったのだろう。ニコルは部屋を飛び出すと、大急ぎで階段を駆け降り、中庭を横切って並木道に姿を消した。

 アンドレはぽつりと呟きそれを見送った。

「可哀相な子、幸せに飢えていたのね!」

 愛とはかほどに甘いのだろうか? 五分後、なおも時間を惜しんで、ニコルは一階にあるジルベールの部屋の窓を叩いた。もったいなくもアンドレからは遊民の称号を、男爵からは怠け者の称号を賜った男である。

 ジルベールは並木道に面したこの窓に背を向け、部屋の奥で何やらせわしなくしていた。

 ニコルの訪いを耳にして、現場を押さえられた盗っ人の如くびくりと作業を止めると、ばね仕掛けも斯くやとばかりの勢いで振り向いた。

「ああ、何だ、ニコルかい?」

「ええ、またあたし」とニコルは窓越しに、思い詰めたような微笑みを浮かべていた。

「うん、入って」そう言ってジルベールは窓を開けた。

 出だしはまずまずだと感じながら、ニコルは手を伸ばした。ジルベールがそれを取った。

 ――ここまではいい感じ。さよなら、パリ!

 なかなか上出来なことに、ニコルはこう考えた時も溜息一つをついただけであった。

「ねえジルベール」と娘は桟に肘を突いて切り出した。「みんなタヴェルネからいなくなっちゃうの、知ってるでしょ」

「うん、知ってるよ」

「行き先は?」

「パリだろう」

「あたしが行くことも知ってた?」

「いや、初めて知ったよ」

「それで?」

「それで? おめでとう。よかったじゃないか」

「何て言ったの?」

「よかったじゃないか、って。難しいことを言ったつもりはなかったよ」

「よかったけど……場合によるの」

「君の方は何が言いたいんだい?」

「いいかどうかはあなた次第ってこと」

「わからないな」ジルベールがニコルの腕に膝をくっつけるように窓枠に腰掛けたため、二人とも話を続けやすくなった。昼顔と金蓮花の蔓が頭の上まで絡みついて、ちょっとした隠れ蓑になる。

 ニコルが愛おしげにジルベールを見つめた。

 ところがジルベールは首と肩をすくめ、話どころかその目つきもよくわからないねと言いたげな素振り。

「あのね……大事な話があるの。聞いてくれる?」ニコルが再び口を開いた。

「聞いてるよ」とジルベールは素っ気ない。

「お嬢様からパリにお供するよう言われたの」

「よかったね」

「もし……」

「もし?……」

「もし、結婚してここで暮らすんじゃなければ」

「君はまだ結婚するつもりでいるのか?」ジルベールはことともしない。

「ええそうよ、何しろお金があるんだから」

「お金があるって?」ニコルの期待を裏切るような落ち着きようだった。

「ええとっても」

「嘘じゃないね?」

「ええ」

「どんな奇跡が起こったんだい?」

「お嬢様からいただいたの」

「すごいじゃないか。おめでとう、ニコル」

「ほら」と掌に二十五ルイを滑らせた。

 そうしておいて、ジルベールの目に歓喜の色やせめて貪婪な光がないかと見つめていた。

 ジルベールは眉一つ動かさない。

「凄いや! 大金じゃないか」

「まだあるんだから。男爵様もお金持ちになるの。メゾン=ルージュも再建され、タヴェルネも修復してもらえる」

「きっとそうだろうね」

「そうなったら城館の管理がいるでしょう」

「そうだろうね」

「そうなの! お嬢様はそれをあたしに……」

「管理人でそのうえニコルの旦那さまか」耳ざといニコルがひるみもしないので、今度は皮肉を隠しもしなかった。

 それでもニコルは我慢した。

「ニコルの旦那さま、ね。誰のことだかわかってるでしょ?」

「何が言いたい?」

「あら、頭が悪くなったの? それともあたしのフランス語のせい?」いい加減お芝居には嫌気が差して、ニコルは声を荒げた。

「ちゃんとわかってるさ。僕に夫になれというんだろう、ルゲさん?」

「ええそう、ジルベールさん」

「お金が出来たからなんだね」とジルベールは急いでつけ加えた。「いまだにそんなこと思ってるのは。そりゃあ、ありがたいとは思ってるよ」

「ほんとう?」

「まあね」

「だったらほらどうぞ」躊躇いはなかった。

「僕に?」

「貰ってくれるでしょ?」

「断る」

 ニコルは飛び上がった。

「わかった。ひどい心をしてるよね。それとも頭だった? いいこと、そんなことしても不幸になるだけだよ。あたしがまだあんたのこと好きで、誇らしさや誠実さとは別の気持で今みたいなことしたんだと思ってみてよ。傷つくじゃない。でもよかった! お金が出来た途端にニコルはジルベールを見下したとか、ひどいこと言って苦しめたとか、言われたくはなかったもの。ジルベール、あたしたちもう何もかも終わったの」

 ジルベールの反応は冷やかだった。

「あなたのことどう思ってるか、わかってるでしょ。あたし決めてたんだよ。わかってるでしょ、あなたと同じくらい自由でわがままなあたしが、ここに骨を埋めようと決意してたんだから。パリが待ってるのに! 晴れの舞台が待ってるのに! わかる? 一日中、一年中、一生の間、穏やかな顔を変えもせずに、嫌な気持は仕舞っておこうと決めていたんだから! 尽くしてたの。わかんなかったでしょ、駄目な男。後で悔やんで欲しいなんて言わない。今日のこの日あんたに拒まれたあたしがこれからどうなるか、気を揉みながら見届けて自責に駆られればいい。また貞淑な女にも戻れたのに。崖っぷちで止めてくれる救いの手なんてなかった。よろめいて、足を滑らせて、後は転がり落ちるだけ。大声で叫んでたのに。『助けて! 誰か止めて!』って。あんたはそれを突き放した。ジルベール、あたし転がり落ちてる、どん底に落ちてる、落ちるところまで落ちてる。あんたにも罪があることは神様ならご存じだわ。さよなら、ジルベール。さよなら」

 やがて貴人のように、心の奥に仕舞い込んでいた余裕をようやく引っぱり出すと、怒りも苛立ちも見せず、傲然としてきびすを返した。

 ジルベールは静かに窓を閉め穴蔵に戻ると、ニコルが来るまで携わっていた謎めいた作業を続けていた。

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東 照《あずま・てる》(wilderたむ改め)
  • 名前:東 照《あずま・てる》(wilderたむ改め)
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  • 翻訳が高じて仏和辞典Webサイトを作る。

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