第150章
「今こうして美徳の限りに非難してしている人たちに対して、罪が犯されるのを目にしながら無実を訴えたんだ」
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「今こうして美徳の限りに非難してしている人たちに対して、罪が犯されるのをその目で見た為に、無罪を言い渡したんだ」(=犯罪の現場を千里眼によって目撃したので、それまで非難していた人を弁護するようになった)
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ジョゼフ・バルサモ更新履歴
第104章
・「民衆に何かさせておけば、」→「民衆に挑戦を重ねさせておけば、」
第114章
・この言葉がニコルに向けられていることはアンドレにもわかった。ニコルもびっくりして眺めるほど、アンドレは悲嘆に暮れていた。
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この言葉が誰に向けられたものなのかはアンドレにもわかった。アンドレの悲嘆があまりに大きいのでびっくりして眺めていたニコルに対してだ。
第115章
・ジルベールさん、ルソーさんのところで住み込んで勉強してどのくらいになるのかしら?
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ジルベールさん、どのくらいの間、ルソーさんのところで住み込みで勉強していたのかしら?」
・でも残念だけどお金を払うことは出来ないわ。そうしたくても出来ないでしょうし。小説はお金で買えるようなものじゃないですもの
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でも残念だけれど価値に見合うお礼は出来ないわ。そうしたくても出来ないでしょうし。物語というものはお金でどうこうなるものじゃないもの
第147章
・魂は清らかなままでいさせてやって欲しいのです。清らかな魂は清らかな肉体に宿るものなのですから
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肉体こそ汚されてしまいましたが、せめて魂だけは清らかなままでいさせてやって欲しいのです
第69章~第102章まで改訳おわり。
第86章
・「庶民と来たらあれこれ言うことにかけてはどんな当事者にも負けてはいない。よく考えもせずいつものように、大雑把な事実と生々しい傷に触れただけで不満を洩らした。」
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「庶民たちはそうした不満分子の誰よりも的を射ていた。彼らとて不満は洩らしたが、例によって例の如く、深く考えもせずに掛け値なしの真実である生々しい傷に触れていた。」
・「庶民たちは嫌悪を抱いていたのであって、はっきりと好意を抱いていたわけではない。庶民たちは高等法院を憎んでいた。本来庇護者であるべき高等法院は庶民のことなど考えもせず、上席権に関する無意味な質疑や己の利益を得ることに汲々としていた。王権の虚像に教化されることもなく、自らを貴族と庶民の間に位置するエリートだと思い込んでいた。」
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「庶民たちは嫌悪を抱いていたのであって、ことさらに好感を抱いていたわけではない。庶民たちは高等法院を憎んでいた。本来庇護者であるべき高等法院は庶民のことなど考えもせず、上席権に関する無意味な質疑や己の利益を得ることに汲々としていたからであり、王権の虚像に教化されることもなく、自らを貴族と庶民の間に位置するエリートだと思い込んでいたからである。」
・「ショワズール氏の解雇に関わりは一切ない。だが貴族や聖職者や高等法院の不平を耳にして、その噂に私見を加えて生まれた轟音に酔いしれていた。」
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「ショワズール氏の解雇に直接的な関わりなど一切ない。だが貴族や聖職者や高等法院の不平は耳に届いていたし、自分たちの囁きにそうした不平の声が加わって轟音となることに酔いしれていた。」
第88章
・訳し洩れがあったので追加。「負けを」→「負けを認めなくてはなりませんものね」
第92章
・「大公の方々ったらお気の毒に! 神様と来たら、せっかく意思を授けても、記憶や理性を取り上げてしまうんですもの。あの方が貧しいですとか、肩章を与えるだけでは足りずに、中隊も与えなければならないですとか、そんなこと考えなくともいいんじゃありませんの?」
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「大公というのも困りものね! 神様と来たら、せっかく善意を授けて下さっても、記憶や理性を取り上げてしまうんですもの。あの方が貧しくて、肩章を与えるだけでは足りず、中隊も与えなければならないと考えるべきだったのに」
第96章
・「一つの大きな昂奮の渦となって高等法院を燃え立たせていたのは、一つの問題であった。それはあたかも軍隊による大きな戦役が一人きりの狙撃兵の投入から始まるのにも似ていた。」
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「大きな昂奮の渦となって燃え立たっていたのは、一人一人の問題がきっかけであった。それはあたかも軍による大きな激戦が、孤独な狙撃兵たちによって引き起こされるのにも似ていた。」
・意味が正反対になっていたので訂正。「難しいことではなかった。」→「これほど難しいことはなかった。」
第100章
・文末を訳し洩らしていたので追加。「デュ・バリー夫人がすかさず『言葉を返した』。」
第101章
・「だが国王に相応しいきらびやかな衣装に感服しているのはわかったし、国王陛下のように守られているものなど何一つないのだと即座に思い至ったのがわかった。」
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「それでも国王が君主に相応しい荘厳な衣装に感服し、身を守るには尊厳よりしくはないと直感するのはわかった。」
・「そして国民の愛も」→「それに国民の愛も」
・「事件をすべて取りやめることを命じていた」→「問題をすべて終わらせるよう命じていた」
第50章
「内陣の柵を仕切っている緑の布の間です。もっとも、仕切っているのは形だけのことでしたが。身廊と内陣の境目には充分な空間がありましたから。/地上に与えられたとでも言うべきその空間から、額ずいた人々の中にただ一人立ったままでいる人間が見えました。」
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「内陣の柵を閉ざしている緑の布の間です。もっとも、閉ざしていると言っても形だけのことでしたから、身廊を確認するには充分な隙間がありました。/世俗とのつながりとも言うべきその隙間から、額ずいた人々の中にただ一人立ったままでいる人間が見えました。」
「ヴェールをかぶった」→「外套を纏った」
「誠実であろうとする魂にとって、不思議な穏やかさと、想像を絶するほどの責め苦が混じり合った苦しみでした。いつも思いがけずからかうような形を取って現れるのだという思いに囚われて、そんな思いと戦っている最中を選ぶようにして現れる力に、抵抗できないまま圧倒され始めるのでした。」
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「苦しみ――そうです。不思議な穏やかさが混じってこそいましたが、誠実であろうとする魂にとっては、想像を絶するほどの責め苦でした。常に存在し、いつも思いがけず、からかってでもいるように、抗おうとすればその瞬間に姿を現したり、問答無用の眠りに引き込もうとしたりする――そんな思念や形を取った圧力だったのです。」
第54章
「別館」→「城館」
第55章
「一つか三つはあるのだろうが、誰も知らないし何処にも見えない。」→「或いは幾つかあるのかもしれないが、誰も知らないし何処にも見えない。」
第56章
訳し洩れがあったので追加。「ロレンツァは心『を痛め』、閉じた瞼の下からひっそりと涙を流した。」
「こうやって私がそばにいるとあなたが苦しんでいるのがわかる。私は役にも立たず見捨てられたままですから。汚れのない花が一輪あなたを誘う香りを放っているというのに、その香りを煙たがられるなんて!」
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「私がこうやってあなたのそばで役にも立たずに見捨てられて過ごしていることに我慢がならないんでしょう! 汚れのない一輪の花が香りを放って誘っているというのに、その香りをはねつけるなんて!」
第60章
「内閣そのものが哲学者なのです」→「大臣自身が哲学者なのです」
「この内閣の内から支配しておるのだな。」→「その大臣の人格に潜り込んで支配しておるのだな。」
「静脈」→「血管」。これも初歩的なミス。
第63章
サルチーヌがジャンに対し「vous autres bourgeois.」と言う場面。貴族であるジャンに「あなた方ブルジョワ」ではおかしいので、「あなた方のような一般人」に変更。
第64章
「それが陛下、回廊の中に光があるとご想像下さい。それが少なくとも十五分ほど動き回っておりました」 → 「どうか陛下、回廊の光をご覧下さいまし。光は十五分ほど前から動き回っていらっしゃいます」
「C'est le petit-fils d'un grand-père !」。この場面では文脈から考えて、「孫」「祖父」ではなく、「小さな息子」「大きな父親」と捉えるべきか。
「いいぞ! 光は消えた」国王はしばらく窓ガラスを見つめていた。「余の場合も二十分与えられていたが、余は確か五分後には妻のところに行っておった。ラシーヌの息子は『やはり祖父の孫』と評されたが、王太子もそう評されるべきだ」
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「よし、よし! 光が見えぬ」国王はしばらく窓ガラスをじっと見つめてから言った。「余も同じように二十分もらっていたが、確か五分後には妻のところに行っておったはずだ。どうやら王太子も第二のラシーヌと同じく、『偉大な父の卑小な息子』と言われることになりそうだ」
第68章
「苦しんでいる人たちを立たせておいてでも貴族を死の床に横たえておくとしたら、私にとって女神にも等しい思いやりの気持に正真正銘従うことになるだろうがね。」
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「苦しんでいる人たちを起き上がらせるために貴族を死の床に放っておくことが、神にも等しい思いやりという掟に従うことになる。」
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