作者の短篇代表作「ボーダー・ライン事件」を読んだときには、 あの短さで且つ本格ものだというのに、人生の悲劇 みたいなものを綴った文学臭さが鼻についた。
本書を読んでみると、やはりそうした小説的な箇所に筆を 費やしているものの、おおらかに筆をふるっている印象で むしろ凝った表現を楽しむことができた。
作者の作品は、「ボーダー・ライン事件」と本書しか 読んだことないけど、ギャグみたいなトリックをひねり出す人という印象。 こんな珍トリックばかりなら、ほかの作品も読んでみたい。
------------------------------------------判事への花束(Hayakawa pocket mystery books 269) | |
![]() | マージョリイ・アリンガム著・鈴木幸夫訳 出版社 早川書房 発売日 1956 価格 ¥ 1,020(¥ 971) ISBN 415000269X |
一九一一年五月のある朝、バーナバス書房の重役の一人が家を出て間もなく、広い郊外の道路上で、池におちた雨粒よろしく手際よくも慎み深く蒸発してしまったという事件がロンドンの街をさわがせた。災難は忘れたころにやってくるという。一九三一年同書房の取締役の一人が失踪したとき、二十年前の事件を想い出したものは誰もいなかった! 英国の大出版社を背景にした特異な作品。デリケートで鋭い性格描写が抉り出す人間心理の謎は第一級の探偵小説となっているばかりでなく、立派な文学的価値をもっている。[内容紹介] bk1で詳しく見る![]() |
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