翻訳連載ブログ
 「ロングマール翻訳書房」より、翻訳連載blog

『ジョゼフ・バルサモ』 113・114

アレクサンドル・デュマ『ジョゼフ・バルサモ』 翻訳中 → 初めから読む

第百十三章 ルイ十五世の小夜食

 国王陛下は取り巻きの廷臣たちと一緒に小広間にいた。君主の虚ろな眼差しが他人に向けられるくらいなら夜食を摂り損ねることを選ぶような者たちである。

 だが今夜のルイ十五世は取り巻きを眺めるだけでは満足できぬようであるらしい。夜食は摂らぬ、いや、摂るにしても一人で摂ると言って取り巻きたちを追い払った。そうやって国王から退出するように告げられたうえに、リハーサル後に催されている祝宴に欠席して王太子殿下の不興を買うことを恐れて、慌てて鳩の群れのようにけたたましく飛び立ち、目に入った人物の方に向かって、陛下の部屋はあなたの為に空けておいたといつでも言えるように、駆け出した。

 こうして人々が慌ただしく立ち去っている間も、ルイ十五世は別のことを考えていた。取り巻きたちの一喜一憂もほかの場合であれば楽しめたであろう。国王は非常にからかい好きで、仮に国王に友人というものがあったとして、たとい相手が一番の親友であってもその心や身体に一つでも欠陥があれば見逃しはしないほどなのだが、今回ばかりはそんな国王の心にも何の感情も湧かなかった。

 確かに、目下ルイ十五世は気を取られていた。一台の四輪馬車がトリアノンの通用門の前に停まったのだ。御者はいつでも馬に鞭をくれられるように準備して、どうやら主人が金の車体に乗れば重みで判断できるように待機しているらしい。

 明かりに照らされたこの四輪馬車はデュ・バリー夫人のものだった。ザモールが御者の隣に坐り、ブランコでも漕ぐように足を前後に動かしている。

 どうやらデュ・バリー夫人は、国王から伝言があるのではないかと見込んで回廊でぐずぐずしていたようだが、ようやくのことでデギヨン氏に腕を取られて姿を現した。怒りのせいか、少なくとも落胆のせいで、足早に歩いている。あまりに決然としていたために、落ち着きを失ってさえいない。

 ジャンが肩を落とし、帽子を腕に挟むともなく挟んでぺしゃんこにして、妹の後から姿を見せた。王太子殿下が招待するのを忘れていたため、ジャンは舞台を見ることが出来なかった。それでも従僕のように控えの間に入り込みんだジャンは、ヒッポリュトスもかくやと思うほどの物思いに沈み、銀糸と薔薇で縫い取りされた上着から胸飾りをはためかせ、本人の悲痛な思いに倣っているようなぼろぼろの袖口には目もくれていない。

 ジャンは青ざめて狼狽している妹を見て、事は重大だと確信した。実体のある相手を敵に回すのなら強気になれるが、幻相手ではそうはいかない。

 国王はカーテンの陰に隠れて、一人ずつ現れてはドミノ倒しのように伯爵夫人の馬車に飲み込まれて行くのを、窓から眺めていた。やがて扉が閉められ、従者が車の後ろに戻り、御者が手綱を振ると、馬が全速力で駆け出した。

「何てことだ!」国王が呟いた。「余に会おうとも、話をしようともせずに行ってしまうのか? 伯爵夫人は相当に怒っておるぞ!」

 それからはっきりと口に出して繰り返した。

「間違いない。伯爵夫人は怒っておる!」

 招待客のように部屋に潜り込んでいたリシュリューが、この最後の言葉を聞きつけた。

「怒っている? どうしてですかな? 陛下が楽しまれたのが気に食わないと? 言われてみればさようですな! 確かに伯爵夫人にとっては面白くないことでしょうな」

「公爵よ、余は楽しんでなどおらぬ。むしろ疲れておるから休みたいところだ。音楽だけでくたびれてしまった。伯爵夫人の話を聞くとしたら、リュシエンヌまで夜食に向かい、食べたるだけでなく飲んだりしなくてはなるまい。伯爵夫人の葡萄酒はきついのだ。いったいどんな葡萄を使っているのやら知らぬが、とにかくあれはこめかみに来る。だからここで寛いでいたいと思っておる」

「陛下のなさることに間違いはありますまい」と公爵は答えた。

「もっとも、伯爵夫人なら勝手に楽しむであろう! 余と食事を共にしてそれほど面白いのだろうか? 伯爵夫人がどう言おうと、そうは思えぬ」

「それについては陛下は間違っておいでです」

「いいや、公爵、そうではない。月日を数えてじっくりと考えよう」

「陛下、いずれにしましても陛下以上に素晴らしい伴侶を持てぬことを伯爵夫人はご存じで、だからこそお怒りなのですぞ」

「実際の話、余にはそなたの流儀がわからぬが、相変わらず二十歳の頃のように女性を扱っておるな。当時は選ぶのは男であった。だが余が生きている時代は……」

「何だと言うのです?」

「音頭を取るのは女だ」

 元帥は笑い出した。

「伯爵夫人が楽しんでいらっしゃったとお思いなら、我々も負けじと慰め合おうではありませんか」

「伯爵夫人が楽しんでいたとは言っておらぬ。楽しみを求めるようになってしまうと言っているのだ」

「そんなことはあり得ないと申し上げることは控えておきましょう」

 国王は動揺して立ち上がった。

「ここには誰がいる?」

「全員が控えております」

 国王はしばし考え込んだ。

「そなたの使用人はおらぬのか?」

「ラフテがおります」

「よかろう!」

「何をさせようというのですかな?」

「デュ・バリー夫人が実際にリュシエンヌに戻っているのかどうか確かめてもらいたい」

「私見では伯爵夫人はお出かけでございましょう」

「はっきり言えばその通りだ」

「すると陛下は、伯爵夫人が何処に向かわれたと仰りたいのですか?」

「知らぬ。伯爵夫人は嫉妬でわけがわからなくなっておるのだ」

「いやしかし、それはむしろ陛下の方ではございませんか?」

「何だと、どういうことだ?」

「嫉妬でわけがわからなくなっているのは……」

「公爵!」

「実際、誰にとっても嫉妬とは厄介なものでございます」

「余が嫉妬しているだと!」ルイ十五世はわざとらしく笑い声をあげた。「本気で言っておるのか?」

 実際のところリシュリューは本気ではなかった。それどころか、デュ・バリー夫人が実際にリュシエンヌにいるのかどうかを国王が確かめたがっているわけではなく、トリアノンに戻って来ないことを確信したがっているのだと考えた方が真実に近いということを認めるのもやぶさかではなかった。

「では了解いたしました。ラフテを確かめに遣らせましょう」

「そうしてくれ」

「ところで陛下は夜食前に何をなさるおつもりですかな?」

「何も。すぐに夜食を摂ろう。件の人物には知らせておいたな?」

「ええ、控えの間におります」

「何と言っておった?」

「大変な感謝をしておりました」

「娘の方は?」

「まだ娘御には話しておりません」

「公爵よ、デュ・バリー夫人は嫉妬深く、すぐにでも戻ってくるかもしれぬのだぞ」

「それはいけませんな。伯爵夫人がそんな無茶をなさるとは思えませぬが」

「こんな場合なら何でもしかねぬよ。憎しみに嫉妬が加わっているのだからなおのこと。伯爵夫人はそなたを憎悪しておる。そのことには気づいておったか?」

 リシュリューは頭を下げた。

「かかる名誉を承っていることは存じております」

「ド・タヴェルネ殿のことも憎悪しておる」

「恐れながらそれに加えさせていただきますと、老生や男爵以上に憎悪されている第三の人物がおりますぞ」

「何者だね?」

「アンドレ嬢でございます」

「ああ、それも当然であろうな」

「そうなりますと……」

「うむ。だがな、デュ・バリー夫人が今夜騒ぎを起こさぬように気をつけねばならぬことに変わりはない」

「それどころか、その配慮が不可欠だという根拠となりましょう」

「給仕長がおる。口を閉じろ! ラフテに指示を伝えよ。それから食堂で例の人物と会おうではないか」

 ルイ十五世は立ち上がって食堂に向かい、リシュリューは反対側の扉から部屋を出た。

 五分後、リシュリューは男爵と共に国王と再会した。

 国王がタヴェルネににこやかな挨拶を送った。

 男爵は頭の切れる人間であった。ある種の人々に特有のやり方で挨拶に答えると、それを見た国王や王族が相手のことを同じ世界の住人だと認めて、見る間に緊張を解いてくれるのである。

 三人は食卓に着き夜食を始めた。

 ルイ十五世はいい国王とは言えないが、魅力的な人物であった。国王がその気になった時には、一座は酒や噂や際どい話で盛り上がったものである。

 要するに国王はそうした陽気な側面から人生の多くを学んでいた。

 たらふく食べ、もっと飲めと勧め、音楽の話を始めた。

 リシュリューはその機会を逃さなかった。

「陛下、音楽が男同士を結びつけるとバレエ教師は言っておりますし、陛下もそうお考えのようですが、それは女の場合にも言えるでしょうな?」

「いやいや公爵よ、女の話はよそうではないか。トロヤ戦争の昔から今日に至るまで、女というものは音楽から正反対の影響を受けて来たのだ。とりわけそなたは、ご婦人たちとかたをつけるべきことが多すぎて、こうした話題が上るのを見るのも嫌であろう。なかでも一人、一触即発の険悪な仲の婦人がおるではないか」

「勘違いでなければ、伯爵夫人のことですな?」

「であろうな」

「恐らくご説明下さることと思いますが……」

「喜んで説明しよう。二言で済む」国王はからかうように答えた。

「お聞かせ下さい」

「よかろう! 伯爵夫人はそなたに余の知らぬ大臣職を打診したが、そなたは断ったそうではないか。それというのも伯爵夫人に人気がないからだと言って」

「老生が?」リシュリューは事の成り行きに狼狽えた。

「そういう噂だぞ」国王はいつものように無邪気を装って話を続けた。「誰から聞いたのかはもう覚えておらぬが……恐らく新聞であろう」

「左様ですか」国王がいつになく上機嫌な顔をしているのを見て、リシュリューは大胆になった。「正直に申し上げますと、今回ばかりは噂や新聞も、いつもほど馬鹿げてはいないようですな」

「何だと! そなたは本当に大臣の椅子を蹴ったと言うのか?」

 おわかりいただけることと思うが、リシュリューは微妙な立場に立っていた。公爵がどんなことでも断ったことのない人物である、ということを国王はよく知っていた。だがタヴェルネの方はリシュリューの言ったことをずっと信じ続けるに違いない。つまり公爵としては、国王の当てつけを如何に巧みに擦り抜けて返答し、男爵の口元に浮かんでいる嘘つきという非難をどうやって避けるか、という点が当座の問題であった。

「陛下、結果ではなく理由に目を向けようではありませんか。老生が大臣の椅子を蹴ったにしろ蹴らなかったにしろ、そのことは国家の秘密ですぞ。白日の下に晒されたまま放っておいてはなりますまい。しかしですな、大臣の職を持ちかけられたのだといたしますと、それを老生が断った理由こそ、本質的に重要なことではありませんかな」

「は、は! 公爵よ、噂によればその理由は国家機密などではなかったぞ」国王は笑って言った。

「無論です。とりわけ陛下にとっては秘密ではございますまい。失礼ながら、老生やここにいるド・タヴェルネ男爵にとって、陛下は現在お目にかかることの出来る存在の中でももっとも麗しい人間の主人でございます。ですから老生は国王に対して秘密などは持っておりません。心の内はすっかり陛下に打ち明けておりますぞ。フランスの国王には真実を伝える臣下の一人もいないと言われたくはありませんからな」

 リシュリューが言い過ぎやしないかと、びくびくしながらタヴェルネは口唇を咬み、国王の顔色を窺いながら慎重に表情を作っていた。

「では真実について話そうか」国王が言った。

「この国には大臣が従わなくてはならない権力が二つございます。一つ目は陛下のご意思。二つ目は陛下がお選びになったもっとも近しい友人のご意思でございます。一つ目の力に抵抗することなどあり得ず、逃れようとすることさえ叶いますまい。二つ目の力はさらに侵すべからざるものでございまして、と言うのも陛下にお仕えしている者の義務感に訴えるからでございます。これは『信用』と呼ばれておりますが、大臣はそれに従うために、国王の寵臣なり寵姫なりにおいたわしい気持を抱かなくてはなりません」

 ルイ十五世が笑い出した。

「随分と面白い箴言だな。そなたの口から出て来るのが面白いわ。だがな、喇叭を二つ持ってポン=ヌフまでそれを叫びに行ってみるがいい」

「ああ、哲学者たちが武器を取ろうとしているのは存じておりますぞ。ですがあやつらの叫びが陛下や老生に関わりがあるとは思いませぬ。肝心なのは、王国を代表する二つのご意思が満たされることでございます。ところで、恐れながら申し上げますと、ある方のご意思は老生の不運、つまり老生の死と関わっておりまして、つまるところデュ・バリー夫人のご意思には同意することが出来ぬのです」

 ルイ十五世は黙り込んでしまった。

「ふと思ったのですが」リシュリューが先を続けた。「先日、宮廷を見回しておりますと、それはもう気高いお嬢さんや輝かしいご婦人方をお見かけいたしました。老生がフランス国王だったなら、一人を選ぶのは不可能だったことでしょう」

 ルイ十五世がタヴェルネを見た。男爵は密かに話題になっていることを悟って、恐れと希望で心臓をばくばくさせ、財産を積んでいる船を港まで押しやろうとでもするように、元帥の言葉を目つきで促し息を吹きかけていた。

「そなたはどう思うかね、男爵?」と国王がたずねた。

 タヴェルネは胸をふくらませて答えた。「公爵は先ほどから素晴らしいことを陛下に仰っているように思われます」

「では美しい娘たちのことについても同意見なのだな?」

「無論です。何分にもフランス宮廷には極めて美しい方ばかりおいでだとお見受けします」

「つまり公爵に同意するのだな?」

「はい、陛下」

「公爵と同じように、宮廷の美女たちの中から一人を選べと申すのか?」

「言わせていただけますならば元帥に賛成でございますし、恐れながら陛下とも同意見だと信じております」

 しばし沈黙が降り、国王は満足げにタヴェルネを見つめた。

「諸君、余が三十歳であれば、間違いなくそなたたちと同意見であっただろう。容易く納得してしまったことであろうな。だがそうしたことを鵜呑みにするには少し年を取ってしまった」

「鵜呑みにするとはどういうことか説明していただけますかな」

「信じるということだよ、公爵。もうそういったことを信じることは出来そうにない」

「そういったこと、と仰いますと?」

「この年で恋心を掻き立てられることだ」

「陛下! たった今この時まで、陛下は王国一洗練された方だとばかり思っておりました。しかしまことに遺憾ながら老生が間違っていたようです」

「どういうことかね?」国王は笑った。

「老成はメトセラのような老いぼれだということですわ。九十四年の生まれですから、陛下より十六も上ですからな」

 これは公爵らしくよく出来たお追従だった。ルイ十五世はこの年でありながら部下の若者を殺してきた公爵について、かねがね感心していた。こうした見本を目の当たりにすれば、同じ年齢になった時のことを考えても希望が持てる。

「よかろう。だがそうすると、女からもてるという自信はもうそなたにはないのであろうな?」

「もしそうだとすれば、今朝言ったことは嘘だったのかと、後で二人のご婦人と喧嘩しなくてはなりますまいな」

「よし公爵。いずれわかる。いずれわかるとも、ド・タヴェルネ殿。若返ったのは確かだが……」

「まことにその通り。気高い血筋こそよく効く特効薬でございます。それに陛下のように立派なお心の持ち主は、変化によって力を得ることはあっても失うことはございませんから」

「しかしだな」ルイ十五世は思い出したらしく、「余の曾祖父が年を重ねた頃には、もう若い頃のようにはご婦人に言い寄っていなかったぞ」

「よいですか。先王に対する老生の敬意を陛下はご存じのはずですぞ。バスチーユに二度も入れられましたが、老年のルイ十四世と老年のルイ十五世とでは比べものにならないと申し上げるのはやぶさかではありません。いやはや! 教会の長兄の肩書きを授けられたキリスト教の信仰篤き国王陛下が、人間性を失いかねないほどまで禁欲にこだわるというのですか?」

「そなたの言う通りだと認めざるを得ぬな。ここには医者も聴聞僧もいないのだから」

「先王陛下は度を過ごした信仰心や数限りない禁欲で、年上だったド・マントノン夫人を驚かせることもしばしばでございました。繰り返しますが陛下、二人の国王陛下についてお話ししながら、一人一人を比べることが出来ましょうか?」

 その晩の国王は機嫌が良かった。リシュリューの言葉によって、若返りの泉から水を飲んだような気分になっていた。

 ここだ、とリシュリューは判断して、タヴェルネの膝を自分の膝で小突いた。

「陛下、愚生の娘に下さった素晴らしい贈り物について感謝の言葉をお伝えすることをお許し下され」

「感謝などいらぬよ、男爵。ド・タヴェルネ嬢のことを気に入ったまでだ。淑やかで品が良い。余の娘たちも使用人をもっとしつけてくれればよいのだが。無論アンドレ嬢は……そういう名前でよかったな?」

「はい、陛下」国王が娘の洗礼名を知っていたことに、タヴェルネは大喜びした。

「よい名前だ! 無論アンドレ嬢はいつでもリストの一番上にいる。だが余のところはいろいろと立て込んでおってな。黙って待っていてくれぬか、男爵、そなたの娘御は余がしっかり庇護してやるつもりだ。持参金もあまりないのであろうな?」

「仰せの通りでございます」

「わかった、結婚の面倒も見てつかわす」

 タヴェルネは深々とお辞儀をした。

「そういたしますと陛下がご親切にもご夫君を見つけて下さいませんか。何しろお恥ずかしい話ですが、愚生と来たら貧乏、いや無一文同然でありまして……」

「うむ、うむ、その点も任せておけ。だがアンドレ嬢はまだ若い。慌てることでもあるまい」

「娘が結婚を恐れているのだからなおのことでございます」

「何ともな!」ルイ十五世は手を擦り合わせてリシュリューを見た。「まあよい、いずれにせよ、困ったことがあったら余を頼り給え、ド・タヴェルネ殿」

 ルイ十五世は立ち上がって公爵に言葉をかけた。

「元帥!」

 公爵が国王のそばに寄った。

「娘御は気に入っておるか?」

「何の話でございますか?」

「宝石箱だ」

「恐れながら小声でお話し下さいませんと父親に聞こえてしまいます。それに老生がこれから申し上げることは聞かれてはなりません」

「くだらぬ!」

「陛下」

「わかった、申してみよ」

「では。娘御が結婚を恐れているというのは本当のことです。しかしながら一つだけ確信していることがございまして、それは娘御が陛下を恐れてはいないということです」

 親しげな発言に散りばめられたあけすけな言葉遣いを、国王は気に入ったらしい。恭しく壁際まで下がっていたタヴェルネのところまで、元帥は小走りで戻った。

 二人は庭から外に出た。

 素晴らしい夜だった。従僕二人が前を歩き、片手に松明を掲げ、片手で花のついた枝を引きずっている。今もまだトリアノンの窓の明かりが見える。王太子妃の招待客たちの酔っ払った人いきれで、窓には水滴が滲んでいた。

 楽団はメヌエットを演奏している。夜食後のダンスが、まだ続いているのだ。

 リラや西洋肝木の茂みにしゃがみ込んだジルベールが、曇ったタペストリー越しに演じられる影絵を見つめていた。

 きらびやかなダンスの列を陶然として眺めていたため、天が地上に落ちても気にも留めなかっただろう。

 だがリシュリューとタヴェルネがこの夜鳥の隠れている茂みの前を通りかかり、声が聞こえると、それもある言葉を耳にして、ジルベールは顔を上げた。

 それはとりわけジルベールにとって重要で意味のある言葉だった。

 元帥が友人に腕を押しつけるようにして耳に口を寄せて囁いていた。

「いろいろと考え合わせると、貴殿には話しづらいのだが、娘御を修道院に送るのは出来るだけ急がねばなるまい」

「それはまた何故じゃ?」男爵がたずねた。

「わしの見るところ、国王がド・タヴェルネ嬢にぞっこんだからだ」

 ジルベールはこの言葉を聞いて、肩や顔に降りかかっているふわりとした西洋肝木より白くなった。

 
 

第百十四章 予感

 翌日、トリアノンの大時計が正午を告げた直後、まだ部屋にいるアンドレのところにニコルが大声を出してやって来た。

「お嬢様、お嬢様、フィリップ様がお見えです」

 という声が階段の下から聞こえる。

 アンドレは驚くと同時に大喜びでモスリンの部屋着をかき合わせ、兄を迎えに飛び出した。嘘ではなかった。トリアノンの中庭で馬から降りたばかりのフィリップが、いつ頃なら妹と話すことが出来るのかを使用人たちにたずねていた。

 そこでアンドレは自分で扉を開け、フィリップと顔を合わせた。お節介焼きのニコルが中庭まで報せに行き、階段まで連れて来たのだ。

 アンドレは兄の首にかじりついた。それから二人はアンドレの部屋に戻り、後ろからニコルがついて行った。

 だがその時になって、フィリップがいつもより深刻な顔をしていることに、アンドレは気づいた。笑顔にさえ悲しみが滲んでおり、極めて整然と軍服を身につけ、畳んだ外套を左脇に挟んでいる。

「どうなさったの、フィリップ?」アンドレははっとしてたずねた。心遣いの出来る人間には、何かを見抜くのにも一目で充分だった。

「聞いてくれ。今朝、聯隊に合流せよという命令を受け取ったんだ」

「では行ってしまいますのね?」

「行かなくてはならない」

「ああ!」アンドレの悲鳴には、持てる限りの勇気と少なからぬ気力が込められていた。

 フィリップが発つのはごく当然のことだったから、アンドレもあらかじめ覚悟はしていたのだろうが、実際に報せを聞いてみるとあまりに落胆が大きく、思わずフィリップの腕にしがみいていた。

「アンドレ!」フィリップが驚いてたずねた。「そこまで悲しいのか? 旅立ちなんて軍人生活では一番ありふれた出来事なんだぞ」

「ええ、わかってます。それで、どちらに行かれますの?」

「駐屯地はランスだよ。たいした距離じゃない。そうは言っても、どうやらそこからストラスブールに戻ることになりそうだけどね」

「そんな! それで、いつ発ちますの?」

「直ちに出発せよという命令だった」

「ではお別れを言いにいらしたんですのね?」

「ああ、そうだよ」

「お別れだなんて!」

「何か言いたいことがあるんじゃないのか、アンドレ?」アンドレの悲しみ方が尋常ではないのでフィリップは不安になり、もしかするとほかに理由があるのではないかといぶかった。

 この言葉がニコルに向けられていることはアンドレにもわかった。ニコルもびっくりして眺めるほど、アンドレは悲嘆に暮れていたのだ。

 何にせよ将校が駐屯地に向かうことが、これほどの涙を誘うような大惨事だとは思えない。

 だからフィリップが感じていることもニコルが驚いていることも、アンドレは同時に悟った。ケープをつかんで肩に掛け、兄を階段の方に連れて行った。

「庭園の柵のところまでいらして下さい、フィリップ。並木道からお見送りいたしますわ。仰る通り、お話ししたいことがあります」

 これはニコルに対する退出命令でもあった。ニコルは壁伝いに退がってアンドレの部屋に引っ込み、アンドレとフィリップは階段を降りた。

 アンドレは礼拝堂に隣接する階段を降り、現在でも庭に通じている通路を抜けて外に出た。だがすぐにフィリップから不安そうな目つきで問いかけられたにもかかわらず、腕にぶら下がって肩に頭をもたれさせたまま、一言も口を利かなかった。

 ところが不意に胸を詰まらせ、顔を死ぬほど真っ青にして、嗚咽を口元まで這い上らせ、止まらぬ涙で目を曇らせた。

「ああ、アンドレ。お願いだから、何があったんだ?」

「頼れる人はお兄様しかいませんのに。昨日から放り込まれたこの世界に独りぼっちにさせておいて、どうして泣くのかだなんておたずねになるんですか! わからないの、フィリップ? 生まれた時に母を失くしただけではなく、こんなことを言うと罰が当たるけれど、父を持ったこともないのに。心に感じた悲しい思いも、胸に仕舞った秘密も、お兄様だけにしか打ち明けたことはないんです。小さかった頃のわたくしに微笑んでくれたのはどなたでした? 抱きしめてくれたのは? あやしてくれたのは? お兄様でした。大きくなってから守ってくれたのはどなたでした? お兄様です。主に命をいただいた者たちがこの世に放り込まれたのは苦しむためだけではないのだと信じさせてくれたのはどなたでした? お兄様です、フィリップ、みんなお兄様だったんです。だからこうしてこの世に生を受けてから、お兄様よりほか誰も愛したことはなかったし、お兄様以外の誰からも愛されませんでした。ねえフィリップ!」アンドレは辛そうに先を続けた。「そうして顔を背けてらっしゃるけれど、お兄様の考えていることはわかりますわ。わたくしは若いし、綺麗だし、未来や恋愛に見切りをつけるのは間違っているとお考えなのでしょう。でもね、お兄様だってちゃんとわかってらっしゃるんでしょう? 誰かが目を掛けて下さるほどは綺麗でも若くもないってことは――。

「確かに王太子妃殿下は親切にして下さいますわ。それは確かです。少なくともわたくしの目には完璧な方に見えますし、女神のような方だと思っています。でもそれはあの方のことを雲の上の存在だとわきまえて、愛情ではなく敬意を抱いているからです。それでもフィリップ、愛情という感覚がわたくしの心には必要なんです。いつまでも胸に秘めて押し殺していると、心臓が破れてしまいます――父が……ああ、お父様! もう何も申し上げることはありませんわ、フィリップ。お父様は保護者でも家族でもありませんでしたし、いつも恐ろしい目つきで見つめてばかりでした。わたくし怖いの、フィリップ。お父様が怖いんです。お兄様が行ってしまうとわかってからはなおさら。何が怖いのかなんてわたくしにもわかりません。逃げる鳥の群れや唸る家畜の群れだって、嵐が近づいて来れば、嵐を怖がるんじゃないかしら?

「それは本能だって仰るかもしれないけれど、永遠不滅の人間の魂にも災いを察知する本能があることは否定できないのではありません? いつからか、何もかもがわたくしたちに都合よく働いていることには気づいていました。お兄様は大尉になりましたし、わたくしは王太子妃の内向きのお世話をさせていただいていますもの。それにお父様は昨夜、国王と夜食を共になさいましたの。フィリップ、気が狂ったと思われるかもしれませんけど、何でも言いますわ、タヴェルネで貧乏に身を委ねて閉じ籠もっていた頃と比べても、今起こっているありとあらゆることが不安で仕方ないんです」

「でもね、アンドレ」フィリップは悲しげに呟いた。「おまえはタヴェルネでも一人だった。ぼくはあそこにもいなかったし、おまえを慰めたりは出来なかった」

「そんなことない。それは確かに一人だったけれど、いつも小さな頃の思い出と一緒でしたもの。あそこで生まれ、息をして、母を失くしたあの家が、言ってみれば生まれて以来の守り神だったのね。あそこにあった何もかもが優しく、愛おしく、親しげに思えたんです。あそこでならお兄様が旅立つのを落ち着いて見ていられたし、戻って来るのを大喜びでお迎えしていました。でも出かけていても戻って来ても、心をすべてお兄様に預けていたわけではなかったんです。時々とはいえお兄様がいたあの家や庭や花、あの場所が好きでした。でも今はお兄様がすべてなんです、フィリップ。お兄様がいなくなってしまっては、何もかもなくしてしまいます」

「だがアンドレ、今はぼくなんかよりずっと頼れる保護者がいるじゃないか」

「そうかもしれませんけれど」

「それに素晴らしい未来が待っている」

「そんなことは誰にも……」

「どうして悲観的なんだ?」

「わたくしにもわかりません」

「そんなんじゃ、神様に失礼だぞ」

「そんなことはありません。主には感謝を忘れず、いつも朝にはお祈りを捧げていますもの。でもひざまずいて感謝の言葉をお祈りするたびに、代わりにこんな声が聞こえるような気がするんです。『気をつけよ、娘よ、気をつけるのだ!』」

「気をつけるようなことがあるのか? 教えてくれ。身の危険を感じているというのなら、おまえの言うことを信じるよ。悪い予感がするのか? 立ち向かうなり避けるなりするにはどうすればいいんだ?」

「わからないの、フィリップ。わかるのはただ、お兄様が行ってしまうと知った瞬間から、わたくしの人生なんて一本の糸で吊られているだけで、何の輝きもなくなってしまったも同然だということだけ。はっきりと言えば、眠っている間に断崖絶壁の上に連れ出されて、無理矢理に目を覚まされたような気持なんです。目を覚まさずにはいられないんです。目の前に崖があるのに、むしろそこに吸い寄せられてしまい、わたくしを支えてくれるお兄様ももういないので、そのまま崖の下に姿を消してばらばらになってしまいそうなんです」

「いいかいアンドレ」声の調子からアンドレが心から怯えているのがわかり、フィリップは思わず胸を締めつけられた。「おまえの優しさには感謝しているけれど、それはちょっと大げさだな。家族がいなくなるのは確かだけれど、ほんの一時じゃないか。何かあっても戻れないほど遠くに行くわけじゃない。それにおまえは自分の空想を怖がっているだけだよ」

 アンドレが立ち止まった。

「でしたらお兄様。男であるお兄様が――わたくしよりもずっと強いお兄様が――今こうしてわたくしと同じくらい悲しんでいるのはどうして? どうか説明して下さい」

「別に難しいことじゃない」口を閉じて再び歩き出していたアンドレをフィリップが止めた。「ぼくらは魂と血で繋がっているだけではなく、魂と心で繋がっている兄妹なんだ。だからパリに来てからは気持を通じ合わせて過ごすことが、ぼくには当たり前になっていた。でもその鎖を断ち切って――いやそうじゃない、人に鎖を断ち切られて、その衝撃が心にまで届いているんだ。だから悲しいけれど、ほんの一時のことに過ぎないじゃないか。ねえアンドレ、離ればなれになってからが目に浮かぶようだよ。悪いことなんか起こるものか。数か月から一年くらいの間、会えないだけだ。ぼくは甘んじて受け入れる。『さよならと』は言わないよ、『また会おう』だ」

 こうして慰められても、アンドレはすすり泣くことしか出来なかった。

「アンドレ」フィリップにはアンドレがここまで悲しがる理由が理解できなかった。「何か隠しているんじゃないのか。お願いだからすっかり話してくれ」

 フィリップはアンドレの腕をつかんで胸に引き寄せ、瞳を覗き込んだ。

「わたくしが? 何もありません。お兄様にはすっかりお話ししましたもの、わたくしのことならお兄様は何でも知ってらっしゃるわ」

「だったらアンドレ、お願いだからそんなに悲しがらずに元気を出してくれ」

「そうね。馬鹿だったわ。わたくしが精神的に強くないことは、誰よりもご存じでしょう、フィリップ。いつもいつも、怖がったり、夢見たり、溜息をついてばかり。でもこんな辛い空想に、愛しいお兄様を巻き込むことなんて出来やしません。いつも元気づけてくれて、怯える必要なんかないと言って下さるのに。お兄様は正しいわ。間違ってません、この場所がわたくしにとって申し分ないことばかりなのは事実です。ごめんなさい、フィリップ。涙を拭くわね、もう泣かずに笑顔になります。『さよなら』なんて言わずに、『また会いましょう』とご挨拶するわ」

 アンドレは兄を優しく抱き寄せた。隠しておいた涙の最後の一粒が、潤んでいた瞼から真珠のようにこぼれて、フィリップの飾緒に落ちた。

 フィリップは兄としてまた父として万感の愛おしさを込めてアンドレを見つめた。

「アンドレ、愛しているよ。元気をなくすんじゃないぞ。ぼくは出発するけれど、毎週手紙を書くからね。おまえも毎週届けてくれるね」

「もちろんよ、フィリップ、ありがとう。それだけが楽しみ。でもお父様にはもうお知らせしたの?」

「何をだい?」

「お兄様が出発すること」

「知らせるどころか、この朝に大臣の指令を届けてくれたのは父上本人なんだ。ド・タヴェルネ男爵はおまえとは違う。どうやらぼくがいなくても平気らしいよ。ぼくの出発を喜んでいたけれど、確かに考えてみると、父上が正しいんだ。ここにいては、どれだけ好機が訪れても前に進めないだろうからね」

「出発すると知ってお父様はお喜びになったというの!」アンドレが呟いた。「間違いないの、フィリップ?」

「父上にはおまえがいるからね」フィリップは巧みに答えを避けた。「おまえがいれば安心なんだ」

「本気でそう思ってらっしゃるの、フィリップ? わたくしにはわからないわ」

「今日ぼくが発った後でトリアノンに行くことを伝えてくれと頼まれたんだ。父上もおまえを愛しているんだ。ただし父上なりの愛し方で、だけれど」

「まだ何かあるの? 焦っているように見えるけれど」

「さっき鐘が鳴っただろう。何時だったかわかるかい?」

「十二時四十五分よ」

「それが焦っている理由さ。一時になれば行かなくちゃならない。あの柵のところに馬を繋いでいるんだ。つまり……」

 アンドレは落ち着いた表情のまま、兄の手を握った。

「つまり……」その声はあまりにぎこちなく、うわべすら繕うことが出来なかった。「つまり、お別れなんですね、お兄様……」

 フィリップはもう一度だけアンドレを抱きしめた。

「また会おう。約束を忘れないでくれ」

「約束?」

「週に一度は手紙を」

「こちらこそ約束よ!」

 これだけのことを口にするのにもひどく辛そうで、ほとんど声にならなかった。

 フィリップは最後に一つ敬礼をしてから立ち去って行った。

 アンドレはそれを目で追い、溜息を洩らすまいと息を止めていた。

 フィリップが馬に乗り、柵の向こう側から別れを告げてから走り去った。

 アンドレは立ちつくしたまま、兄の姿が見えなくなるまでじっと動かずにいた。

 とうとう見えなくなると、くるりと向きを変えて、手負いの鹿のように木陰に駆け込み、腰掛けを見つけるやそこにたどり着いて倒れ込むのがやっとだった。血の気も失せ、力という力が抜け、何も見えなかった。

 やがて胸の奥底から、いつ果てるともなく絞り出すような嗚咽を洩らした。

「ああ神様! どうしてこの世に一人きりになさるんですか?」

 両手に顔をうずめ、白い指の隙間から涙をぼたぼたとこぼし始めると、もう止めることは出来なかった。

 この時、熊垂クマシデの後ろから小さな物音がした。溜息が聞こえたような気がして、ぎょっとして振り返ると、惨憺たる様子の人影がアンドレの前に立ちつくしていた。

 ジルベールだ。

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東 照《あずま・てる》(wilderたむ改め)
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