翻訳連載ブログ
 「ロングマール翻訳書房」より、翻訳連載blog

『ジョゼフ・バルサモ』誤訳訂正

第五章

二段目。
一階分ほどの高さをした長方形の本館があり、その両端に小塔型をした四角い別棟が二つ聳えている。
 ↓ 
長方形をした一階建ての本館と、その両端に聳えている小塔型の四角い別棟が二つだけ。


「天井は低く、広い。往時にはシャトーとして立てられた農園一の部屋であった。家具は殆ど無く、一見すると空き部屋である。藁敷き椅子が数脚、背には Lebrun会戦の版画が黒ニス塗りの額に嵌められている。オークの戸棚に付けられた装飾といえば、煤と年月による黒ずみだけだ。中央には小さな円テーブルが置かれ、その上にはヤマウズラの雛のキャベツ添えが一皿だけ、湯気を立てている。どっしりとした石焼きの壜に入ったワイン。古びて薄汚れた傷だらけの銀器三点揃いに、カップと塩入れ。この塩入れだけはどっしりとした素晴らしい出来栄えで、さながら砂礫に紛れた宝玉といった趣であった。
 ↓ 
天井の低い大広間である。往時には、別荘として建てられた農園の主室であった。家具はほとんど無く、一見すると空き部屋にも思える。背に彫刻のある藁敷き椅子が数脚。黒ニス塗りの額に収められた、ルブランの会戦を描いた版画。煤と年月によって黒ずんだオークの戸棚。調度といってはそれだけだった。中央には小さな円卓一つ、卓上で湯気を立てているのは山鶉の雛のキャベツ添えただ一皿だけ。ワインは腹のふくらんだ壜に入っている。ナイフとスプーンとフォークと、カップと塩入れ――銀器はどれも古びて薄汚れて凹みが出来ていた。この塩入れだけは洗練された重量感のある出来で、さながら石くれに紛れた宝玉といった趣であった。


身なりは質素だがあまりに完璧に似合っていたため、王妃の衣装部屋から持ち出した非の打ち所のない衣装でさえ見すぼらしく思えたことだろう。
 ↓ 
身なりこそ質素だが完璧と言っていいほど本人に似合っていたので、王妃の衣装部屋から持ち出した衣装でさえ見すぼらしく思えたことだろう。


傍らのタヴェルネ男爵は、この完全なる完成品が客人に与えた只一つの感動を見逃さなかった。
 ↓ 
タヴェルネ男爵はと言えば、この完璧な材料だけで出来た作品が客人にもたらした感銘の数々を、一つたりとも見逃さずにいた。


人並みに慎みがあったし、父の口にしたこの奇妙な理屈を耳にせざるを得なかったからだ。
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どれほど慎みがあろうとも、父の口にしたこの奇妙な理屈を耳にせざるを得なかったからだ。
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東 照《あずま・てる》(wilderたむ改め)
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