翻訳連載ブログ
 「ロングマール翻訳書房」より、翻訳連載blog

『アンジュ・ピトゥ』 13-3

アレクサンドル・デュマ『アンジュ・ピトゥ』 翻訳中 → 初めから読む

 ルイ十四世はコルベールの教えに従って、二人の徴税請負人を吊るすことでその治世を始めた。その後ラ・ヴァリエールを愛人にして、ヴェルサイユを造らせた。ラ・ヴァリエールは金食い虫ではなかった。

 だが国王はヴェルサイユに愛妾を泊めたがり、ヴェルサイユは金を食った。

 そして一六八五年、新教徒だからだという理由で、何万人もの職人が追放された。

 そして一七〇七年、いまだ大王の世、【経済学者の】ボワギルベール(Boisguillebert)が一六九八年のことを話しながら言った。

「あの頃はまだどうにかなっていた。あの頃には灯す油があったからね。今は何も出来ない。原料がなくなってしまったから」

 二十年後、デュ・バリー家とポリニャック家がそんなものには無頓着にやり出した暁には、いったい何と言っただろうか? 初めは人々に水を流させ、次いで血を流させた。それだけのことだ。

 それもうっとりするような手際で。

 かつての徴税人は粗野で厳しく冷たかった。囚人を閉じ込めている檻のように。

 それが今では慈善家の仲間入りだ。むしり取るのは事実だが、一方で病院を建ててもいる。

 金融関係の友人によれば、間接税だけで一億二千万フランの税収があり、徴税人はそのうち七千万を自由にしていた。

 斯くして会議の席で支出の状態étatsを問われた議員は、「必要なのは特別な状態ではなく、通常の状態états généraux=三部会だ」と言葉を掛けて答えた。

 火花が火薬に落ち、火薬は火を吹き火災を引き起こした。

 誰もが議員の言葉を繰り返し、やがて三部会は大きな叫びとなった。

 政府は三部会の開催を決定した。開催日は一七八九年五月一日。【1787.7】

 一七八八年八月二十四日、ド・ブリエンヌは辞職した。迅速な財政の立て直しを試みた人物の一人であった。

 だが辞職しながらも適切な助言だけは忘れなかった。ネッケルの再登用である。

 ネッケルが大臣に返り咲き、世間もほっと息をついた。【1788.8】

 それでも三身分の問題がフランス全土の話題から無くなることはなかった。

 シェイエスが第三身分についてのあの有名なパンフレットを刊行した。【1789.1】

 政府の意向を無視して開かれたドーフィネの三部会で、第三身分代表も貴族代表や聖職者代表と対等であることが決定された。【1788.7】

 二度目の名士会議が開かれた。【1788.11】

 この会議は三十二日間にわたって開催された。一七八八年十一月六日から十二月八日までである。

 今回は神が御手を加えた。王家の鞭では飽き足らず、神の鞭が宙でしなり、人々を追い立てた。

 冬が飢饉を連れてやって来た。

 飢えと寒さが一七八九年の扉を開いた。

 パリは人混みで溢れ、路上が彷徨う人々で埋まった。

 何度かにわたって飢えている人々の前に武器が積み上げられた。

 だがそれから、その武器は使うべき時にも使われることはなかった。

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東 照《あずま・てる》(wilderたむ改め)
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