翻訳連載ブログ
 「ロングマール翻訳書房」より、翻訳連載blog

『アンジュ・ピトゥ』 50-3

アレクサンドル・デュマ『アンジュ・ピトゥ』 翻訳中 → 初めから読む

 そのままラ・レーヌ広場(Cours-la-Reine)を通り、セーヴル(Sèvres)に向かい、そこで二手に分れることになるのだが、それはそのまま置いておき、パリで起こっていたことに少し目を向けるとしよう。

 七千人の女たちが選挙人たちを溺死させそうになり、ルフェーヴル修道院長とマイヤールを吊るしおおせそうになり、市庁舎を燃やしそうになったという事実は、噂を呼ばずにはいられなかった。

 この噂は首都から遠く離れた界隈にまで評判となり、ラファイエットを馳せ参じさせる結果となった。

 ラファイエットはシャン=ド=マルス(Champ-de-Mars)で閲兵式のようなものをおこなっており、朝の八時から馬に乗り通しであった。市庁舎広場に向かったのは正午の鐘が鳴る頃だった。

 当時の諷刺画にはラファイエットはケンタウロスの姿で描かれている。胴体はよく知られることになったあの白馬のものだ。

 頭部は国民衛兵司令官のものである。

 革命当初からラファイエットは馬に乗って話をし、馬に乗ってものを食べ、馬に乗って指令を出していた。

 馬に乗って眠ることさえままあったと云う。

 だから寝床で眠る機会に恵まれればラファイエットはぐっすりと眠った。

 ペルティエ河岸(le quai Pelletier)に着くと、全速力で走る馬の前に飛び出して来た男に止められた。

 ジルベールだ。今しもヴェルサイユに向かうところであった。身の安全が脅かされていると国王に知らせに行くところであり、国王のために身を尽くしに行くところであった。

 ジルベールは手短にすべてをラファイエットに伝えた。

 それから二人はそれぞれの道に戻った。

 ラファイエットは市庁舎へ。

 ジルベールはヴェルサイユへ。ただし女たちのようにセーヌ川の右岸ではなく、左岸に沿った道を選んだ。

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東 照《あずま・てる》(wilderたむ改め)
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