アレクサンドル・デュマ『アンジュ・ピトゥ』 翻訳中 → 初めから読む。
返信を待つ時間は短くて済んだ。
翌々日、特使が馬でアラモンに到着し、アンジュ・ピトゥを訪ねた。
ざわめきが広がり、兵士たちの間に期待と不安が広がった。
特使は汗だくの白い馬に乗っていた。
パリ国民衛兵参謀の制服を着ている。
特使の来訪が如何ほどの効果をもたらしたか、そしてまたピトゥが如何に動揺し動悸がしたか推して知るべしである。
ピトゥは青ざめて震えながら笑顔の特使に近づき、差し出された小包を受け取った。
ジルベールが代筆したビヨからの返信だった。
過剰な愛国心は抑えよというビヨからの忠告があった。
それから陸軍大臣の副署のあるラファイエット将軍の指令も一緒だった。アラモンの国民衛兵に武器を持たせよというものだった。
ラファイエット将軍の名に於いてソワッソンとラン(Laon)の国民衛兵に武器を持たせよという任を受けた参謀が出発するのに合わせたものだ。
指令の内容は以下の通り。
『銃と剣をそれぞれ二挺以上持つ者は、二挺目以降を各市町村の部隊長が自由に使えるようにすべし。
この処置は市町村内全土にわたって施行されるものとする』
ピトゥは顔を真っ赤にして喜び、参謀に礼を述べた。参謀は再び笑顔を見せると、次の目的地に向かってすぐさま発って行った。
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